2017.07.26
オーティズムミュージシャンのTくん。
ついこの前まで、お母さんがいつもレッスンには付き添って下さいました。私も、お母さんとお話しするのも楽しいので、別に構わないのですが、ある日ピアノの音が、反抗期でした。
「えーと、いよいよ来たかな?」
と、私は成長と捉え嬉しいことですが、お母さんは恐縮するばかり。
本人は、反抗期の音を出した後、今度は困惑で落ち込み始めました。
そこで、話を色々聞きまして、家での様子などまさしく反抗期!を感じました。しかし、お母さんはレッスンが成立しないことを懸念し、私に申し訳ないから、と一生懸命声かけや、自宅練習に付き合って下さっていたのです。ありがたいことではありますが、いつの日か限界もきます。
練習内容が、きちんと伝わらずやれなかったのなら、私の責任です。これは、定型発達の生徒さんであっても、そうでない所謂、発達障碍の生徒さんであっても、同じで私の裁量なのです。勿論、ご家庭のフォローなしでは、上達は否めませんが、ある時期からは自立自律をしないと、になります。
Tくんにはそれが、このタイミングだったのです。多少、本人も心配性でお母さんに頼りたくなるところもありますが、少しずつ自力で、を促したく1人のレッスンになりました。
「来週から1人ね」
と、言った時は心細さげな表情をしていましたが、翌週1人できた時は問題なし。
付箋にメモをしたり、優先順位を張り出したりお互い工夫しながら、新たな形でレッスンが出来るようになりました。
そして昨日は、ゆっくり弾く、という宿題にしまして、そのゆっくりを伝えるのにスマホを使いました。
Tくんのスマホで、弾いてきてほしいテンポで弾いてもらい録画。それを再生しながら、そのテンポか確認する。その手順も踏んで帰りました。今の子、スマホはお手の物。それをうまく使えば、お母さんが心配する「覚えて帰れるか?」も、クリアできます。付箋とスマホをうまく使えば、お母さんの心配は杞憂に終わります。
かくして、お母さんの心配はよそにTくんは自信をつけながら、頑張れています。来週は、そのお母さんと、連弾の日です。楽しみにしています。