2017.05.27
先日、本棚にあった古い本を引っ張り出して読みかえしてみました。
話の中に、「ミシンのセールスマン」が出てきたのですが
昭和の時代を物語るなと思いました。
当時は最新型とはいえ、重たいミシンを持ち歩いて
訪問販売をされていた時代もあったのです。
昭和のその時代はミシンだけでなく家庭へのピアノの普及率も上り
子供の数も多かったことからピアノの教室はどこも人気だったと思います。
その頃のピアノの先生(先生という職業の方全般に対して)は、
ごく一般家庭の子供だった私は“とても偉い人”=上流階級の方
だと思っていました。
昭和50年頃に先生をされておられるという事は、
単純に逆算しても“戦後間もなくの時代に、そのような教育を
十分に受けられる環境のご家庭に育った方だと
当時子供ながら単純に考えたからです。
元々、時代を遡れば遡るほど、先生と呼ばれる方への概念は
崇高なものになるようですね。
さて、そんな時代。
先生が白いものでも黒い!と仰ればそれは絶対で
反論できる余地などありませんでした。
そういう世界だと教わってきました。
とても厳しく、よく叱られました。
ですが、今の時代は違います。
先生の仰る事が絶対という世界は、
まだ現存しているかもしれませんが、
今は私たちが通ってきた世界とは違います。
いま、ピアノの教室に何が求められているのか。
生徒さんや保護者の方々が何を求めているのか。
今は、一人ひとりのニーズを見極める必要がある時代だと思います。
そして、もちろん私達自身の研鑽も質の向上も求められています。
大切なのは、一人ひとりを大切に満足のいくレッスンを行うこと。
発表会でも、通常のレッスンでも、その人の人生において
全ての瞬間が一度きりの時間です。
その一度きりの時間をどう充実したものにしてあげるか。
人生のアルバムに残る1ページに、どんな最高の思い出を飾る事ができるか
十分にプロデュースしてあげるのが私達の役目。
特に発表会では、保護者の方はそう願っておられるはずです。
うちの教室の場合、保護者の皆さんが良い方ばかりで
他所のお子さんの成長まで楽しみに観に来て下さいます。
しかしながら、やはり
誰よりも我が子が一番輝く姿を見たい
と心待ちにされておられます。
生徒さんだってみんなそう。
自分が一番輝ける日であってほしいと
緊張高鳴る胸を弾ませ、震えながら願っているはず。
だからこそ最高の思い出になる為に、
日々のレッスンにも、最高の1日のためにも
普段から全力を尽くさなければと思っています。
一方、生徒さんの方では受け取り方もまた違っていて、
中には、癒しを求めて来る生徒さんもおられます。
熱血レッスン一点張りではなく、その人が何を求めているのか、
ご家族の方は何を求めているのか、などお互いに理解した上で
向き合っていく時代なのだと思います。
レッスンひとつひとつを経て、その子がどういう未来を迎えるのか。
大きなきっかけではなくてもいい。
ピアノ(声楽)のレッスンを通して
その人の心に、人生において
何か新しい扉を開けることができたり、
未来が広がるきっかけを作れるよう
お手伝いができたらいいなと思う今日この頃です。