2015.05.28
2年ほど前から、探していた私のヴァイオリンの製作者
『Sugiura Takasi』さんをよく御存じの方から
お話を聞くことが出来ました。
Sugiuraさんは、下鴨にお住いのヴァイオリニストで、
ヴァイオリンを愛するあまり、自分で創りたいという想いが
とても強くなり、自宅を改造して工房を作り
ヴァイオリン製作を始められたそうです。
自分の納得いく音が出るまで、試行錯誤を繰り返され
ようやくできた、記念すべき第1作の2本の内の1本だったそうです。
『この想いを解ってくださる方に使っていただきたい』と言う彼の言葉に、
当時の私の先生の元に行き、その数年後に
音楽を深く学びたいと、勉強を始めた私の元に来ました。
残念なことに、お若くして病のためにヴァイオリン製作を続けられなくなられた為
あまり作品もなく、後継者もいらっしゃらなく、
息子さんも父親がヴァイオリンを制作されていた事をご存じないそうです。
どおりで、ネットで検索しても、今の製作者に聞いてもご存じないはず。
先日、偶々その楽器店の前を通りがかった時、
もう退職されたかと思っていた方が、おられるのが目に留まり、
思い切って訪ねることが出来ました。
そして昨日のお話を聞くことが出来ました。
また一つ、足かせになっていたことが吹っ切れて
前に進めそうな気持になれたことも嬉しいことの一つ。
そして何より、そんな私を支えてくれていたヴァイオリンは、
とても強く、音楽を愛し、自分の理想の音を追い求められた製作者の
想いが入った記念のヴァイオリンだったことが判ったことは本当に嬉しいことです。
だから『諦めろ』と言われた時も私の傍で見守ってくれたのだろうなと思うし、
そのおかげで、無理だと言われた音楽の世界に戻って来れたし、
生徒さんを育てる喜び・自分が演奏できる喜びがつながり、
感謝の気持ちでいっぱいです。
『Sugiura Takasi』氏の思いがいっぱい詰まったヴァイオリンに、
ますます愛着が湧き、大切に育てていきたい、という思いが強まりました。
制作から50年、私の教室40周年の時に、こんなお話を聞くことが出来て幸せです。