2026.05.07
先日、ピアニストのスタニスラフ・ブーニン氏の苦難と再生を追ったドキュメンタリー映画を鑑賞してきました。
1985年、19歳でショパン国際ピアノコンクールを制し、日本中に空前の「ブーニン現象」を巻き起こした彼。
当時、私も、子供心にその熱狂を鮮明に覚えています。
しかし、華々しい活躍の裏で、彼は突如として表舞台から姿を消しました。
病や手術、そして左足の切断という、想像を絶する苦難。音楽家としてあまりにも過酷な現実でした。
ブーニン氏のこれまでは存じておりましたが、
理想とする音楽が分かっているのに、それが出せなくなってしまったと語る彼の苦悩や葛藤を思うと、胸が締めつけられる気がするのです。
以前、高崎へコンサートに伺った際の、プログラムの冒頭に書かれていたブーニンさんからのメッセージと重ね合わせました。
納得のいく一音を追い求め、葛藤し、一歩ずつ進んでいく。
ブーニンさんのその歩みを献身的に支え、共に歩む奥様の深い愛情。
お二人の絆と、魂から絞り出されるような演奏。
奥様のお言葉には、私も思わず涙が溢れていました。
苦難を乗り越え、完璧ではなくても、再びピアノの前に座り、聴衆へ自身の音楽を届ける道を選んだブーニンさんを、これからも応援したいと思います。
音楽は、単なる指先の技術ではありません。
人生で経験する喜びも、そして深い悲しみや痛みさえもが、その人にしか出せない「音」の深みへと変わっていくのだと、改めて教えられた気がいたします。
ピアノを練習していると、思うように指が動かなかったり、壁にぶつかったりすることもあります。
けれど、ブーニン氏が証明してくれたように、たとえ遠回りをしたとしても、音楽を愛する心があれば、何度でも立ち上がり、音楽を奏でる喜びを見つけることができます。
くろとりピアノ教室でも、技術を磨くだけでなく、「音楽を愛する心」を何より大切に育んでいける場所でありたいと、思いを新たにしました。
一人ひとりの歩幅で、一音一音を大切に育んでいきたいものです。
【小諸市東小諸・くろとりピアノ教室】