2016.03.30
日赤病院での待ち時間(とにかく長い!)の退屈しのぎ、携帯電話を持たない私の必需品「ウォークマン」には 大好きな音色がいっぱい入っています。1月にNHK「ら・ら・らクラシック」で お酒を飲みながら聴きたいクラシックというテーマがあり、外山啓介さんが フォーレ「月の光」とラヴェル「亡き王女のためのパヴァ―ヌ」を演奏されました。月の光と聞いて「あら、ドビュッシ―の間違いじゃないの?」と思い テレビで見たとき「あぁ、この曲!」と・・・ 耳にしたことはありましたが じっくり聴くのは初めてでした。ピアニスト殿の美しい音色にいつもトロン❤となりながら 録画を何度も再生して楽しんでいます。主旋律の淡く煌めくような響きの上に まるで光の波のように内声部が次から次へと優しく歌いながら重なってきます。ピアニスト殿の音はいつも 曲が終わっても心の中にフワフワと漂ってやさしく包みこんでくれる… ほんとに癒される素敵な音色です。自分でも弾いてみたいと 楽譜棚にあるフォーレの小曲集を開いてみましたら 載っていませんでしたので 今度カワイ・ショップへ行ったら 探して買ってきましょう、と。でも・・・ この素敵な曲もウォークマンに入れ、耳だけで聴いてさらにビックリ☆ 波のように打ち寄せる美しいメロディーの響きが テレビの画面で見て聴くよりもっと綺麗なんです❤ 「これはもう、自分で弾かない方が良いかも…」と 思ってしまいました。心にスゥ~ッと入ってきて 語りかけてくれるような甘やかな音色と響きを 純粋に楽しむだけの方が良いのかもしれません。今日も病院での待ち時間、この音色にうっとりと聴き惚れていました。
音大生の時、3年生で「学内演奏会」が課題にありました。ステージでの演奏です。師匠の美しい音色に憧れていた私は 怖いもの知らずでドビュッシ―の美しい旋律にチャレンジしました。ベルガマスク組曲の中から「月の光」を、前奏曲集第2巻から 第12番「花火」を選曲しました。根本ではやっぱりドビュッシーなのですが この2曲は対照的なところもあり、組んで演奏してもいいかナ、と。「花火」はグリッサンドの嵐で アルペジオと和音もたくさん! ドビュッシーならではのきらきらするような表現と音色との 格闘のレッスンでした。パリ祭の時に打ち上げられる花火をドビュッシ-がピアノの音としてあらわした曲、最後のところでチラッとフランス国歌が出てきます。「月の光」は・・・ 師匠がイメージを私に感じさせようと いろいろと美しい、そして優しいストーリーを作ってお話しして下さり、私はその場面を想像し まっ赤になりながら(内容は長くなるので ご想像にお任せします。とにかく恋愛映画のようにロマンティックなのです)ピアノに向かう日々でした。弾きはじめは目を閉じて上を向き、鍵盤を見ないで ひたすら自分の出す音に耳を傾けながら弾き進む、音に集中してよ~く聴きながら… 和音の動きが出始めたら はじめて鍵盤を見ていいよ、と。本番終了後、同期の友人達が「カッコヨカッタよ! 思い切りピアニストしてた♪」と言ってくれました。(カッコつけたわけではないのですが…) 「月の光」今でも暗譜出来ています。十数年前、カワイのピアノSKシリーズが誕生した時 浜松・竜洋工場へ試弾させていただけるツアーに参加しました。その時も音色を感じるならこの曲!と「月の光」を弾きました。最初の右の和音の響きが まるで立ち上がる様に鳴ったのが 今でも忘れられません。エッ、これ私の音?!と そのピアノの性能の素晴らしさに嬉しくなってしまいました。そこにいらした技術士さんが「最初のAsの響きがすごかったでしょう☆」と私に話しかけられ さらにビックリ‼ 右の和音の上、つまりメロディ-・ラインになる音である ラのフラットを言い当てられ、しかもドイツ音名で言われたのです。音楽用語等、専門的なことも勉強していらして、耳も確かな技術スタッフの皆様、ほんとにプロでいらっしゃるスゴイ方々です‼ そんなこんなで想い入れいっぱいのドビュッシー「月の光」、16回目の発表会講師演奏で弾いたときは 外山さんの素敵な「月の光」をCDで聴きながら ベランダでお月さまをながめ、イメージ・トレーニングしました。SK・EXで少しでも美しい音と表現が出したくて… ゼッタイ真似できないけど フォーレの「月の光」もチャレンジしてみましょうか♪ ピアニスト殿の美しい指の動きを見ながら聴くのもイイけれど 音だけ集中すると こんなにも響きを手に取るように感じられるなんて☆ 何度か行くリサイタルで ピアニスト殿のあざやかな指の動きを見ながら聴く時と 目を閉じて音だけに集中して その深さをを楽しむ時… これからもいろんな方向で 大好きな音色に心を傾けていこうと思います❤