2014.07.26
超絶的な技巧を持つピアニスト、フランツ・リストの ピアノ作品の最高傑作である「ロ短調ソナタ」はソナタ形式を用いた長大な単一楽章で成り立つ スゴイ曲です。ピアニスト・外山啓介さんが 今年のリサイタル・ツアーで プログラムの最後に演奏されています。その鮮やかなテク二ックを目で楽しむ事もできますが、やっぱり私は(音色)かな。リストの弟子達が伝えている、ゲーテの戯曲「ファウスト」が元になっているという説を知り、そうか、悪魔なのネと妙に納得してしまいました。4年前に初めて外山さんの演奏で聴き、何かゾクゾクするような、心がざわつくようなメロディーが胸に残り、あれこれ調べ、解説のたくさん載っている楽譜を購入して書き込みをし、自分では絶対に弾けないこの大曲への憧れを募らせてきました。この4年間に4~5人のピアニストさんの演奏でも聴きましたが、「う~ん…?」という感じでした。というのも 最後のクライマックスで オクターブのメロディーが速いテンポで壮大に歌い上げられていくのですが、皆さん音が綺麗ではないんです。最初に外山さんの演奏で すごく華やかな音色を聴いてしまったせいでしょうか… ドから1オクターブ上のファまで(11度)とどくという大きな手、長い指。今回のプログラムにある「トルコ行進曲」や「愛の夢」にも出てくるオクターブのメロディ―の響きも ホントに外山さんの指から紡ぎ出される音は綺麗です。
30分にも及ぶ演奏の中、凄まじいテク二ックと胸が高鳴る華やかな音色に 夢中になってしまった「ロ短調ソナタ」ですが 曲の終わりはとても静かで、鐘の音と思える美しい響きで締めくくられています。激しく、そして静かに、煌めくような音もあれば 何かゾッとするような音も感じられ 何度も聴くうちに(私ってば 宝物を探しに来ているみたい・・・)と思いました。そう、この曲は私にとって 聴く度に「今日はどんな音が出てくるの?」とワクワクできる曲で 宝の山のようなんです。(もちろん、外山さんの演奏に限ってのことですが…) 手の小さい私は リストを得意となさる山崎先生に付きながら ほとんどレッスンにリストは取り上げられませんでした。だから憧れのような気持ちもあります。一昨年、外山さんが弾いて下さったソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」も素敵だったなァ、いつもドキドキしながら聴いてたっけ・・・。
さぁ次はいよいよ名古屋・しらかわホールです。先週 和歌山では ネクタイ・三つ揃え姿で ナント、ロ短調ソナタの演奏の時だけ 上着を脱がれたピアニスト殿、「おっ!?気合入ってる!」と思ってしまいました。しらかわホール、B席は完売、A席もほとんど埋まっているとの事、たくさんの方々が外山さんの演奏を聴いて下さるのが嬉しいです。外山さんのリスト、ダ~イスキ!! どんなにオババになっても 曲にときめく気持ちって ピアノ教師には大切なことですよね!