2013.10.08
幼児のピアノレッスンでは「できた!」という経験の積み重ねが大事だと思います。以前ピアノレッスンを始めたばかりの年中の男の子がいました。いつもお母さんがレッスンに立ち会っていました。レッスンで私にほめられると、お母さんにうれしそうにガッツポーズをします。ピアノの宿題はしっかりやってくるほうですが、ある時お母さんは「家では練習がいやだと言い、私と喧嘩になることもあるのですよ」と言われるので、私は「まだ習い始めたばかりだし、喧嘩するくらいなら練習をしてこない時があってもいいんじゃないですか」と言うと「いえ、しかしこの子にはできたことをたくさん経験させ、自信をつけていってもらいたいから」と言われました。私は「そうですね、それは今の時期とても大切なことだと思います」と答えました。大人はすぐ忘れてしまいますが、子供は特に幼児期に体験したことはほとんど忘れることがないと聞いたことがあります。私はこのお母さんの子供と向き合う真剣な姿に感心し、テキストを進めて行く中で難しいと思わないよう、曲に関する分かりやすい説明と、楽譜を出来るだけ噛み砕いて教える工夫をしています。そして少しのことでも心からほめて、お母さんと一緒にできたことを喜ぶよう努めています。この子は着実に上達しています。