2014.03.15
今日はカワイコンクール九州大会の3週間前というタイミングで長崎地区の受賞者記念コンサートがとぎつカナリーホールで行われた。
6人(いずれもカワイ音教の生徒)出演して、そのうちの4人が4月の九州大会にエントリーしている。
4人全員がこの2か月間で新しい課題に向き合っている。今日のステージは今後の改善点を知る上で大変意義深いものだった。
思ったよりメロディーラインが浮かび上がっていないケースが多く、また左手伴奏のバランスに問題があったり、やや不協和音で進行するパッセージの暗譜が完全でないケース、手の交差で神経が指先まで及んでいないこと、再現部での主題展開を提示部と混同するなど、数々あった。
何より音楽の流れを途中で止めてしまうのはステージ上ではあってはならないこと。それは日頃の練習がどのくらい掘り下げられているかにかかってくる。
音楽の流れを途中で止めてしまうのはあってはならないことだが、今から10数年前の故エドワード・オードウェルのステージはその意味では例外だった。
旧香港上海銀行長崎支店記念館での2回連続のコンサート、その最終に選んだバッハの作品で、彼は曲の途中で演奏を中断、聴衆に向かって"I'm so sorry!"と語ったかと思うと、ステージから袖へ、そして螺旋階段を2階に上り、トランクの中から楽譜を取り出し、またステージに現れた。そして何事もなかったかのように演奏を続けた。何故だか聴衆のあちらこちらからすすり泣く声が聞こえてきた。そのような動線もまったくディスターブとは感じさせない人間性は彼独特のものだ。
私がかつてイギリスのマスタークラス(オードウェルも指導者の一人)の最終ステージを務めた際、バッハの平均律曲のフーガで途中記憶が途切れて立ち止まったことがあったが、旧香港上海銀行長崎支店記念館でのオードウェルのコンサートではプログラムの平均律曲の連続した5曲からその曲だけを削除していたことに後で気が付いて心が熱くなった。
話が逸れてしまった...あと3回程度は九州大会前にレッスンができるので、最善を尽くして万全の備えをしたいと思う。