2021.06.04
演奏活動をされたり、ピアノの先生をされている先生方との月1回の勉強会がありました。
いろいろなテーマで勉強をしているのですが、その中でハイドンのピアノ曲の楽譜について。
ハイドンの時代の鍵盤楽器ははクラヴィコード、チェンバロからフォルテピアノへの過渡期でした。
生徒さんが弾かれるソナチネアルバムや
ソナタアルバムにも載っている
ピアノソナタ(クラヴィーアソナタ)も、
実は、初期はチェンバロのため、
後期はフォルテピアノのために
作曲されたものが多いです。
楽譜は、当時
・自筆譜 ハイドン自身が書いたものだ が、わずかしか残っていない
・写譜 何人ものハイドンのお弟子さ
んなど周囲の人によるもの(ヨハン・
エルスラー他)
・出版譜 アリタリア版など、ハイドン がOKを出してはいたが、校訂者が勝
手にハイドンの意図しないことを加えていたこともあった
今、現在の楽譜だと
・ウィーン原典版(クリスタル・ランドン校訂)
・ヘンレ版(運指校訂 フェーダー)
がよいのではということです。
そのあたりのことはピーター・コラッジオさんのこの本にも載っています。
↓
「ハイドンピアノソナタ演奏の手引き」(全音)
私が教えを仰いでいる古楽器の演奏家の先生も写譜・自筆譜を掘り起こした
すばらしい演奏をされています。
チェンバロ、フォルテピアノ、オルガン奏者のインマゼール氏も
「オリジナル版を作れ!」とおっしゃっています。
ハイドンにはソナタアルバムの他にも「アンダンテと変奏曲ヘ短調」というとても美しい曲があります。
この曲は、自筆譜が残っているそうです。自筆譜の楽譜はfやpが入っていなかったり、アーテイキュレーションがしっかりついているので、ウィーン原典版と比較演奏して見ると大分違ったものになってきます。
ハイドンはまだまだわからないことが多く、これから研究も進んでいくのでしょう。
なんだか、難しい?話になって
しまいましたが、
ハイドンの生きた時代をたどり、思いを馳せながら、素敵な演奏に近づいていくのも楽しいものです。