2024.01.12
「医学と音楽のコラボ Medicine and Music」ひたちなか市・那珂市でピアノ教室を開いております稲野辺純子です。
医学の分野での
音楽の可能性
医学の分野での音楽の可能性が
どんどん増していっています。
パーキンソン病・アルツハイマー型認知症・てんかん・脳卒中などです。
ジョーンズ・ホプキンズ大学の
医学・音楽センターの取り組みです。
また、モーツアルトでてんかん発作が
減少したという研究が
てんかんの患者に毎日モーツァルトの曲を
聴いてもらう実験により、
「モーツァルトの曲が
てんかんの発作を減少させる可能性が
ある」ことが判明しました。
この発見により、てんかんの症状を
改善させ、患者の生活の質を
向上させられる治療法が
見つかると期待されています。
てんかんとは、脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的な刺激により、けいれんや手足の突っ張りといった発作が引き起こされる神経疾患です。全世界に5000万人の患者がいると推計されており、神経疾患の中では最も一般的なものだと考えられています。
これまでの研究により、モーツァルトの曲とてんかんの発作の頻度には関係があることが分かっていましたが、それが単に聴覚的な刺激の効果なのか、モーツァルトの曲にてんかんの発作を抑える効果があるのかはっきりとは分かっていませんでした。
そこで、カナダのクレンビル・ブレイン・インスティテュートの研究者であるMarjan Rafiee氏らの研究チームは、26〜75歳のてんかんの患者13人にモーツァルトの曲を聴いてもらう実験を行いました。
研究チームは、まず参加者を2つのグループに分けて、1つ目のグループにはモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 第1楽章 K.448」の最初の6分30秒を3ヶ月間にわたり毎日1回聴いた後、同じ曲のメロディーの順番を入れ替えた上にリズムを編集した「スクランブル版」を同様に3カ月間毎日聴いてもらいました。
2つ目のグループは逆に、「スクランブル版」を3カ月間聴いてから、原曲を3カ月間聴きました。研究チームが実験に「2台のピアノのための
ソナタ」の第1楽章を用いたのは、
この曲の長さがちょうどよかったことと、過去の研究によりこの曲に含まれるリズムがてんかんの治療に役立つ可能性が示されていたことが理由とのことです。実験期間中の各参加者には、発作の頻度を記録する日誌を作成してもらいました。また、治療薬が実験に影響しないように、実験期間中は飲んでいる抗てんかん薬などを変えないようにしてもらいました。
この実験の結果、「2台のピアノのためのソナタ」の原曲を聴いている最中の参加者は、発作の頻度が明らかに少なかったとのこと。
また、この効果は同曲の「スクランブル版」を聴いている最中の参加者には見られませんでした。
モーツアルトは、医療に役立てようと思って
作曲したわけではないでしょう。
内なる声に真摯に向き合うことで生まれた音楽が
時代を超えて、現代の私たちにこれほどの
恩恵を与えてくれているとは!
感謝するしかありません。
1度産み落とされた音楽は、作曲者の手を離れた後
時代を超越し、またその時代の演奏家の手に
ゆだねられ再生して、その時代の人々の心に届けられて
いく。何とも不思議なものですね。