2023.06.09
ひたちなか市・那珂市でピアノ教室を開いております稲野辺純子です。ご訪問いただきありがとうございます。
最新の脳科学研究から
~ピアノ練習は脳の老化予防に効果~
楽器の練習と脳の老化予防についての研究をご紹介します。
高齢化社会をひた走る日本と世界
日本はもちろん世界でも、
出生率が低下し寿命が延びたことで、
この20年で高齢化率が劇的に高くなっています。
日本国内では65歳以上の高齢者人口は
3,617万人(人口の28.7%)となり
過去最高を更新しました。
健康に歳を重ねたとしても脳に色々な問題が起こる歳を取ることで、一般に認知機能が低下します。
例えば、記憶力が低下したり、処理スピードが落ちたり、思考や行動を制御する機能が衰えます。これらは、脳の前頭葉の、白質と呼ばれる部分(神経同士をつなぐ配線のような存在)が劣化することで起こると考えられています。
さらに、脳機能の老化は白質の劣化とは別に、
認知機能に必要な脳の異なる部位同士の連携が低下していることが原因という説もあります。
実際のところ、40歳を超えると10年ごとに脳の体積が5%ずつ減り、その減るスピードは70歳以上に加速することも知られています。
白質は年とともに衰えるので、40歳と言えども白質の劣化の影響を受けている可能性を否定できません。
認知予備能(cognitive reserve;CR)という希望
年を取ると脳がどんどん衰えていくという否定的な話ばかりなのかと言えば、そんなことはありません。
脳だけを見るとアルツハイマー病と診断されてもおかしくない人が、認知症を発症せず、認知能力を持ちこたえている場合があります。このような人たちを、認知予備能(cognitive reserve)が高いといいます。
例えば、認知症にかからず亡くなった老人の脳を死後に診断すると、33%がアルツハイマーと診断されるレベルの老人斑(タンパク質のかたまり)を大脳新皮質に持っていたという研究結果があります。
つまり、脳の萎縮や変性という点では認知症を発症するレベルになっていても、それまでの仕事や学習の経験、
余暇活動などの要因により
発症を抑えることができている人たちがいるということです。
これが脳における認知予備能=Cognitive Reserveの増加によって起きているのではないかというのがCognitive Reserve仮説です。
Cognitve Reserveに関係する話としては、少なくとも週に2回の刺激的な活動を行う人(積極的に何かに取り組んだり、外に出て行う活動)は、そうではない人に比べて認知症発症リスクを50%減らすという報告もあります。
そして音楽活動がCognitive Reserveの増加に寄与するという研究も多くあります。