2020.01.22
今年はベートーベン生誕250年という事で、私は静かに心の中で想いを馳せたいところです。
彼は12月生まれですから、第九の開催時期には様々な特集が組まれ、きっと賑やかになるでしょうね。
しかし実はお誕生日が定かでは無いのです。1770年生まれが定説となっている為、2020年は生誕250年となります。
今日は、昭和55年に青森の児童文学作家・北畠八穂が書いた「不屈の人ベートーベン」(児童書、小学中高学年向け)をご紹介します。
私は音楽に関する古書等をとても大切に保管しております。
この本では、あとがきが印象に残ったものですから、書き記しますね。
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あとがき 北畠八穂
若いさかりの7年間、1足も歩けない病床にあった私は、そのころにしては、大型のタチのいい蓄音機を枕元にすえて、来る日も来る日も、レコードをききました。動けない体の、たましいを、動かしたかったからでしょう。
とても音楽好きな、いたずらっ気タップリの人が、みまいにくるたび、「また土瓶(ショパン)に、葉っぱ(バッハ)、ベトベト(ベートーベン)か」
とからかいました。
この耳放楽のあいだで、やはりたましいにドキリときたのは、ベートーベンの曲でした。魔力があるみたいに、私の耳をしびれさせて、さらっていって、たつまきのなかに、まきこんでしまうのでした。
それはたましいに染み込み、刻み込むものでした。それは耳の奥にしっかりと根をすえて、けっしてはきえてゆかなかったのです。
昭和55年、音楽の友社 不屈の人ベートーベン
あとがきより抜粋