2020.10.12
昨日の《聴くという事》の続きになりますが、
イギリスにいた時は色んな楽器演奏者の卵達と一緒の学生生活でした。
ピアニストと言うだけで、聴いてない演奏家、と見られている空気を感じていました。何故なら《ピアノは押せば鳴る》からです。音そのものを作り出さないといけない彼らにとって、ピアノはもう既に出来上がっている楽器。
当時音程で苦労していた弦楽器演奏者から、
「ピアノはいいよな!音程で苦労することないものな!」
と、愚痴をこぼされた事もあります。
(彼の演奏は確かに調子っぱずれでした!)
ピアノはピアノで弾く困難に直面していた私は、
「音程では確かに苦労しないけど、
ピアノは両手に足まで使うんだから!
それにヴァイオリンと違って楽器を持っていけないから、現場のピアノに対応しないといけないから大変なのよ。」
と反論していました。
ただの子供の愚痴のこぼし合いです。(笑)
そんな《押せば鳴る》楽器演奏者であるピアニストはちゃんとは聴いていない音楽家としての烙印を押されていました。
そういう実情もあって、先のピアノ5重奏の授業の際に
「ピアニストが一番聴いている」と言われた時の喜び!ご想像して頂けると思います!
(*^-^*)
本当は何を聴いて良いのか、本当には良く分かってなかったのですが、弦楽器に見下されたくない一心で(笑)集中していました。
♪♬♫♪♬♫
高校からピアノ伴奏者は常に需要があり、アンサンブルは沢山やらせて頂きました。
相性の良い伴奏者を得るという事は彼らにとって精神衛生上、必要不可欠なもので、大きな安心感をもたらすものでありました。
ただ私の場合は初見が本当に苦手で、良く弾きこむ時間が必要でしたので、専門職的に引き受けることは出来ませんでした・・。
高校時代にはヴァイオリン、チェロ、フルート。
大学時代にはピアノ3重奏をメインに、フルートとソプラノの伴奏を頼まれて少しやりました。
あ、あとクラリネットの女の子とアパート暮らしでしたので、一緒にコンサートも開きました。楽しい思い出です。(*^-^*) その時は大変だったんですけどね。
若いうちから色んな楽器と演奏する事は
良く聴く耳を育てるという観点から見ても非常に有効である、と思います。
日本の音楽教育もピアノの域を超えて、交流していく事が大事だと心底思います。第一異なる楽器と演奏するって楽しいですから!良い刺激も沢山もらえます。
伴奏は独奏より決して劣るものではなく、
協演者と共に一つの音楽を創り上げていく、素晴らしいパートナーシップ。
ピアノは一つで完成してしまう、孤独な楽器でもあります。
楽器や歌手と軽やかに音楽を紡げる、そんな環境があったら嬉しい事です。