2020.10.19
昔、小2の男の子が、レッスンでこんなことを言いました。「こんなに練習したのに、《○》にしてくれないなんて!」と。もちろん、練習してくると、1週間でも違うから分かります。そこは、誉めた上で、きちんと取り組んでやってくる子には、私は欲張りなので、その上を要求します。その方がその子にとってプラスになるからです。楽譜を見て、譜面通りに間違いなく弾ける。それだけでも、どんなにたいへんな事か、私だってよーく分かります。そこで、ちょっと意地悪みたいだけど、譜面無しで、左手だけ弾いてみて、と課題を出します。すると、たいていの子は、メロディーを頭に歌いながら、左手を動かします。しかし、厳しく言うと、左手だけでも、メロディーのように弾ける事が重要ですから、ちょっと厳しく言うと、本当に曲を理解してない事が分かります。次に、途中から弾いてみてと言うと、やっぱり最初から、頭で歌って繋がってきたら弾けます。これも困ります。どんな場面もすぐ再現できるのが、完全な暗譜です。しかし、左手だけと途中からをやっておくと、発表会で分からなくなって止まる事はないし、本当に〈身に付く〉のです。前回紹介した、ピアニストの横山幸雄さんは、著書の中で、レッスンを受ける時気をつける事は、「より自分の理解力を深める」ともおっしゃっていらっしゃいます。譜面を見てさっと弾けたらokという事を繰り返すのでは、得られない大事な事と感じます。