2020.05.19
『ラヴェル』といえば有名なのが、管弦楽の〈ボレロ〉です。『ラヴェル』(1875~1937)は全部で5曲の「バレエ音楽」を作曲しています。自伝の中で、「常に一定のゆるやかな舞曲で、メロディー、ハーモニー、小太鼓のリズムも、常に変わる事はない。唯一の変化はクレッシェンドによりもたらされる。」とあり、〈反復〉は発展を促す手段であったのがここでは、主体となっています。169回も同じリズムが繰り返されます。作曲手法に1つの「テーマ」「アイデア」を発展していく方法がありますが、クレッシェンドだけで、これだけ壮大で深みを感じるのも、凄い事だと思います。ピアノ曲は『ソナチネ』といっても、ソナチネアルバムに出てくる曲とは違い独特です。「水の戯れ」「鏡」も、ファンタジー映画の背景に合いそうな曲で、精神病になった『ラヴェル』の一面を垣間見る感じがします。