2017.03.26
「なんでオランダに留学したの?」
と、聞かれる事がよくあります。
「オランダに習いたい先生がいらっしゃったから。」
と、私は答えます。
武蔵野音大3年時在学中の4月から卒業までの2年間、私はエレーナ・アシュケナージ先生の下で勉強しました。
もちろん武蔵野音大でエレーナ先生が教えていらっしゃる事は知っていました。
私が先生の下で勉強できるとわかった時は本当に嬉しくて、でも同時にレッスンについていけなかったらどうしようという不安もありました。
エレーナ先生のお兄さんはクラシックを勉強してる人なら誰でも知っているであろう、ヴラディミール・アシュケナージ氏、私が在学中、そっくりなお兄さんとエレーナ先生が一緒にいる姿を見られた事も素敵な思い出です。
エレーナ先生のレッスンを初めて受けた時の衝撃は今でも覚えています。
『私は今までピアノの何を勉強してきたの?!音楽が大きい!!音が綺麗!!』
何もかもが違いました。先生が奏でる音楽すべてを習得したいと思いました。
エレーナ先生は指導者としてだけでなく演奏家としても魅力的な先生です。
ご主人様でヴァイオリン奏者のグレゴリー・フェイギン先生とのDuo、同僚で親友でもあるコッホ中村幸子先生との2台ピアノの演奏は何度も聴かせて頂きました。
私がアンサンブル好きなのは間違いなくエレーナ先生の影響です☆
先生とレッスンを続けていく中で卒業後の事も考えなければいけない時期になった時、私は留学したいと思っている事を先生に話しました。
幸運にも卒業する年にグル―ベルト先生が日本でのリサイタルツアーの為に来日されました。演奏会後ステージ裏にグル―ベルト先生を訪ねました。
翌日、滞在されているお家で私のピアノを聴いて頂き、留学したいと思っている事を話すと、ちょうど空きがあるから9月からおいで、とのお返事!!!
(日本は4月からが新学期ですがヨーロッパでは夏休み後の9月からが新学期です。)
その日から急いで留学準備を始めました。
ビックリするくらい話しがトントン拍子に進んだのはエレーナ先生のお陰です。
武蔵野音大を卒業した年の9月から私はオランダのデン・ハーグ王立音楽院に留学しグル―ベルト先生の下で勉強しました。
20年近くエレーナ先生とフェイギン先生は日本で教えて下さり、演奏を聴かせて下さりました。そんな先生方が今年度いっぱいで大学を退職され、今日モスクワに帰国されました。
昨日フェイギン先生に電話し、今まで本当にありがとう。先生達のお陰で私の人生は変わりました。と、伝えました。
私は決して優秀なピアニストではありません。
出会った先生方のお陰でとっても楽しくて充実した音楽人生を送る事ができていると思っています。
写真:大好きなエレーナ・アシュケナージ先生とグレゴリー・フェイギン先生