2018.07.05
息子の友人の話です。
M君は小学生の頃ヴァイオリンを習っていました。
そのお教室は先生のご自宅の2階にありました。
生徒さん達は1階にあるリビングで待っていて、自分の番になると2階のレッスン室に上がって行く、というシステムになっていたそうです。
リビングの奥にはつい立ての様な物があり、M君がふと見るとそこにはご高齢の先生のお母様が寝ていらしたそうです。
M君はそれに気付くと、
「こんにちは!」
と声を掛けました。
その日以来、彼は毎回つい立ての向こうに顔を出して挨拶をする様になりました。
多くの生徒さんの中で、声をかけるのは彼だけでした。
お母様はM君の来る日を心待ちにする様になりました。
そしてどうしてもM君にアメを買ってあげたいと思われました。
ある日、
「今日はあの坊やがいらっしゃる日ね。ちょっとそこのお店まで行って来ます」。
と仰いました。
今まで殆ど寝たきりだったお母様の言葉に先生は驚きました。
それからはゆっくり杖をついてアメを買いに行く事が、M君のレッスン日のお母様の習慣になりました。
これがリハビリになったのでしょう。その後なんと歩けるようになられたのです。
M君のママは先生からのお礼の電話で、初めて息子のしていた小さな優しさを知ったのでした。
今週末はその彼の結婚式です。
今日もお読み頂きまして有難うございました。
では又、ごきげんよう。