2018.01.19
13年程前に銀座のヤマハで園田高弘先生のバッハのセミナーを受講しました。
コワい方なのではないかと思い、レッスンを受けるわけでもないのに少し緊張して向かいました。
すると、印象とは違ってビックリする事が沢山ありました。
まずご自分の事を
「先生ね〜」
と仰る。
「先生もっと楽譜持って来てあげれば良かったなぁ」
と。
私は何だか自分が小学生に戻った様な気分になって聞いていました。
園田先生は、お小さい頃からレオ・シロタのお弟子さんでした。
毎回通訳を付けてレッスンに通っていらしたそうです。
ご自分がレッスンを受けた古い楽譜をご覧になって、
「こういう印をしてくれた先生は偉大だったと思うなぁ」
としみじみ仰いました。
その楽譜を私たちに回して下さいました。
拝見しましたが、それは我々でもよく書く印でした。
この矢印ってしみじみ感心する事?
と少し不思議でした。
又、受講していた方の一人が、曲の中のある部分をどの様に弾いたら良いかを質問すると、
「ああ、ここの所ね」
と仰って弾き始め、、、
何度も何度も弾き、、、
相当な時間が経過し、、、
会場が不思議な空気になった所で
ハッと気付いたように
「あ〜ごめんなさい、僕練習が好きだから練習しちゃった」
とおっとりした口調で仰いました。
とても印象深いセミナーでした。
その5日後に、新聞で先生の訃報の記事を目にしました。
ちっともお具合が悪そうには見えなかったので驚きました。
ご自分でもまさか5日後に突然亡くなるとは思っていらっしゃらなかったと思います。
でももしかしたら、もうすぐこの世とお別れする事を魂は分かっていたのかなと思いました。
だから強く恩師に想いを馳せたり、ご自分が居る場所を忘れてしまう位深く音の世界に入り込んでしまわれたのではないかと。
あの日の事は今でも時々思い出します。
では又友引の日に、ごきげんよう。