2015.10.20
すっかり秋の空。
キックボードで駆けてく子供たちを尻目に
もう9年も通ってる、出張レッスン先のマンションの真下のパーキングに車を入れて
エンジンを切った時、
かすかに
ピアノの音が聞こえてきた。
「あら?」
ドアを開けて車外に出ると
空から聞き覚えのあるイ短調。
クリアで清潔な音。
リズムよく次から次からまるで、つながってる音符が見えるように。
キラキラトルコ行進曲か降ってきた。
マンションの谷間のパーキングにこだまして、
楽しげに寄せては返し、よく響く。
井戸端会議中のママたちも
タクシーから降りてたビジネスマンも
道の端にかたまってゲームをしていた小学生男子たちも
「え?」
「あれ?」
というようにみんな空を見上げている。
犯人はわかってる。
今年中学3年のうちの男子生徒くん。
受験が近く
今日が最後のレッスンという約束だった。
普段は音マナーの上、絶対開けない窓を開けて、
自分の大好きな。そして自信のあるモーツァルトで私を迎えてくれている。
うまくなったもんだと、感心しながら
7階のインターホンを押した。
粋な心遣いも、大人になった証のようで
ちょっとまばゆいです。
さあ、最後のレッスンをはじめましょう。