仙台国際コンクールセミファイナルを聴いて 〜広上淳一指揮と仙台フィルの熱演と共に〜
2019.06.03
セミファイナル3日目。
4人の若きピアニストが
ベートーベンのピアノコンチェルトを演奏した。
中国人・ロシア人・韓国人・日本人
客席はほぼ満席。
予選も聴かせてもらった4人の方々なので
弾きっぷりや音楽の緻密さなどが浮かんでくるだけに
コンチェルトへのわくわく感も高まってくる。
4人のピアニストから
それぞれに繰り広げられた音楽は、
今日
この会場でなければ聴けないであろう
魂の叫びが伝わってきた。
体全体が音の塊のように
音楽と一体になって弾きながらも、
オーケストラと会話をし、
心の半分は冷静に音を見つめているのだろうか。
お見事!の一言。
4人の選択した曲が
ほぼ同じであったので、
きっと会場の人達は
入賞者の予想がついたかも知れない。
コンクールの宿命だから
入賞者する人がいて
落ちる人がいるのは仕方がない。
感動は演奏だけでなかった。
演奏者の中に
日本人はひとりだけだったが、
会場の人々の拍手は
国籍に関係なく
どの若きピアニストにも同じく
あふれんばかりのものだった。
想像を絶する緊張の中
全身全霊で演奏するその姿には
聴く者にとって
国籍の差は無い。
会場の雰囲気はとても温かかった。
そして
広上淳一さんの指揮。
コンクールに挑むピアニストを精一杯応援しよう、
出来るだけ弾きやすく、
演奏を最大限に引き出してあげようという気持ちが
客席にもビンビンと伝わってきた!
4回のコンチェルト全てで
指揮台の上で踊ったり、飛び上がったリと、
仙台フィルに息をもつかせない演奏となっていた。
人間って素晴らしい。
音楽も素晴らしい。
大変な道に進んだ若きピアニスト達。
それでも
演奏後
お辞儀をして顔をあげた時
目に飛び込んだ会場の人達の笑顔と
あふれんばかりの拍手の音を、
ほんの少しでも
これからの支えにして
また明日の一歩を踏み出してほしいなと思い、
会場を後にしました。