マッサ・カンタービレ~ミュージック・スタディ~ 98
2026.06.17
調律の行き届いたピアノに向かうと、指先が鍵盤に触れた瞬間から、音が生まれる喜びが全身を駆け抜けます。反応の速いタッチ、整えられた響き、澄んだ音色。ひとつひとつが、演奏する私の心を軽やかに躍らせてくれます。
とりわけ、イタリアで出会ったあの輝かしい響きと、まろやかに包み込む音色を思い出させるように調整されたこのピアノは、空間そのものにイタリアの風を吹き込むかのようです。音が広がるたび、まるで石畳の街角や陽光の差し込む広場が目の前に現れるような感覚に誘われます。
そんなピアノと向き合う時間は、今の私にとって何よりの歓びです。
今日もまた、この楽器が紡ぎ出す響きに身を委ねながら、音楽の旅を続けています。