2025.10.17
ドナウディは交響曲や壮大な歌劇より、個人や個々の感情や詩的な世界を表現する歌曲に軸足を置きました。そして、新しい時流の中でバロックや古典派の形式・様式を現代に蘇らせるという、逆進的でありながら画期的な方法を行いました。また、細やかな演奏指示により、演奏者の解釈と感情表現を重視する手法を組み込んでいます。
ドナウディの独自性は歌曲中心の作曲活動をし、演奏者と対話するような作品の中で、古典様式の再構築を先進的に行ったところにあると考えます。ドナウディは、時代の潮流に逆らうかのようにイタリアの伝統的な旋律の美しさと様式美を探求した作曲家です。彼の作品は他の作曲家とは異なる革新性で、今も多くの声楽家や音楽家に評価されていると思います。