2016.03.30
先日、上野の文化会館で開かれた
田村宏先生のメモリアルコンサートに行ってきました。
田村先生は戦後間もない昭和21年から
東京芸大で後進の指導に当たられ
途中に2年間ウィーン留学を経験し
ピアニストとしても活躍され
多くの優秀な音楽家を育てられましたが
平成23年にお亡くなりになられました。
このコンサートは、ピアニストの小山実稚恵さんが発起人。
様々な趣向での演奏がある中
特に印象的だったのは
最後に演奏された
ベートーヴェンの交響曲「運命」でした。
「運命」は、田村先生がお好きだった曲。
それをなんと、2台のピアノ6手で、
9人のピアニストが
楽章ごとに入れ替わり演奏したのです。
しかも、この編曲は間宮芳生先生が手がけられ
本邦初演!
どんな演奏になるのだろうと、
ワクワクしていました。
演奏前に間宮先生が舞台に立たれ
田村先生との
「運命」に関するエピソードをお話されました。
田村先生が「運命」が大好きで
「是非ピアノで演奏したいので編曲をしてほしい」
と頼まれ、田村先生の生前に
1楽章だけは出来ていたが
途中お亡くなりになられてそのままだったのを
今回の演奏会の為に残りを仕上げて
本日の初演に至ったとのこと。
そして、編曲するに当たり
オーケストラの沢山の音をどうやって
2台のピアノ(3パート分)に振り分けるかで
どうしても省かなければいけない音が出てきて
忠実に再現するのはとても難しかった
とおっしゃっていました。
実際、演奏が始まって
どれだけ音が省かれているのかは
指揮専門でない私にとっては
殆ど分からなかったのですが
知っている楽器のパートが
3人のどこに配されているかを聴くのが
クイズみたいでとても面白かったです。
そして、それぞれの楽章のどのパートも
ピアノで弾くにはとても難しく
皆さん、真剣勝負で息を呑むような
白熱した演奏が繰り広げられました。
さすが、田村先生のお弟子さんで
現在活躍されている方々の演奏は
「凄い」の一言でした。
この日は、「運命」を演奏した
9人のピアニストを含め
総勢11人のピアニストが出演しました。
11人ものピアニストの
色々な演奏スタイルが同時に
見られる機会は貴重です。
とても勉強になり
有意義な1日を過ごすことができました。