2025.03.31
クリストーフォリ堺での演奏会を聴きに行きました。
使用楽器は1820年のマテウスシュタインと1845年シュヴァイゴーファー。
両方ともウィーンの楽器ですが、制作年が20年違うと、鍵盤数はもちろん、1本の弦にかかる張力が20kgと45kgなど(ちなみにモダンピアノは70kg) この頃のピアノフォルテの進化は目覚ましいようです。
けれどもどちらもウィーン式アクションの柔らかい夢のような音。スペックが違う楽器とは言え、2台ピアノでのアンサンブルも音が溶け合って、ふわっと広がる響きの中に包まれました。私もこちらの工房でマテウスシュタインを弾かせていただいたことがあるのですが、アクションがシンプルなので、タッチがそのまま弦に伝わって、弦楽器としての要素が多く聴こえるように思います。
ワルトシュタインはフランスでは「オーロラソナタ」(夜明け)と呼ばれているとか。上野真さんがマテウスシュタインで演奏されましたが、朝もやから夜明けの部分、こういう音色を想定されて作られたのねえ、としみじみ‥
そして90歳を少し超えられた小林道夫さんの静かで暖かい演奏。学生時代からお名前だけはよくー知っていた方の演奏をこういう形で聞かせていただくことになったことにワクワク‥
そして演奏会の主催、ピアノ修復家山本さんの楽しく興味深いトーク。
あっという間の2時間半。うっとり、充実のひとときでした。