2026.09.12
9月10日、ヤマハミュージック横浜みなとみらい3Fサロンで開催された、赤松林太郎先生とイレーネ・ルッソさんのピアノリサイタルを聴きました。
「ドナウを越えて――七十年と二十六年の継承」
この副題にはどんな意味があるのだろうと思っていましたが、赤松先生のお話を伺い、そこには3代にわたる音楽のつながりがあることを知りました。
赤松先生とルッソさんは、2000年の「クララ・シューマン国際コンクール」で、ルッソさんと赤松先生が上位の賞を分け合った間柄。
そして今年、なんと26年ぶりにブダペストで再会されたそうです。
さらに時代を70年前まで遡ると、赤松先生の恩師フランス・クリダと、ルッソさんの恩師ラザール・ベルマンも「リスト国際ピアノコンクール」で出会っています。ラザール・ベルマンが優勝、フランス・クリダが「フランツ・リスト賞」を受賞し、ともに世界的に脚光を浴びました。
そして今回、赤松先生とルッソさんを再びつないだのが、イタリアにいる赤松先生のお弟子さんだったとのこと。
70年前のベルマンとクリダから、赤松先生とルッソさんへ。そしてさらに次の世代へ――。
音楽が人から人へ、世代を越えて脈々と受け継がれていることに、本当に感銘を受けました。
そんなお二人の連弾は、お互いが自由にご自分の音楽を表現しながら、相手のこともしっかりと感じている。
まさに、どんぴしゃりの阿吽の呼吸!
音楽が生き生きと動き、こちらの心がぐいぐいと動かされていきます。
その演奏の向こうにある長い音楽の歴史にも思いを馳せながら聴いていました。
コンサートには知り合いの先生方もたくさんいらしていて、ランチをご一緒し、楽しくおしゃべりできたのも嬉しい時間でした。
そして、音楽が受け継がれていくことに感銘を受けながら、ふと「自分はどうだろう」と振り返ってみました。
学生時代から今まで、どのくらいの人にピアノを教えてきたのでしょう。
全部記録しておけばよかったと思いますが、子どもから大人まで、相当な人数になると思います。
ピアノ教室は、やめてしまうとそのまま関係が途切れてしまうことも少なくありません。それでも、かつての生徒がピアノの先生になっていたり、今もピアノがその人の人生の一部になっていたり。
そんなことを知ると、とても嬉しくなります。
あと何年、ピアノを教える仕事を続けられるかわかりません。
でも、音楽を受け継ぐというのは、必ずしもピアニストやピアノの先生を育てることだけではないのかもしれません。
ピアノを弾く喜びや、音楽を聴いて心が動くこと。
そんな小さな何かを生徒さんたちの心に残していくことも、音楽を次の世代へつないでいくことなのではないでしょうか。
これからも、一人ひとりの生徒さんの心に何かが残るようなレッスンをしていきたい――。
素晴らしい演奏とともに、そんなことまで考えさせられたコンサートでした。