2025.09.20
5年ぶりに開催された、ショパン国際コンクール審査員・ヤブウォンスキー教授のマスタークラス。
レッスンを聴講して何が音楽の本質か、美しい響きとはどんなものかを考えさせられました。
教授のレッスンは、まるで一つの舞台劇。歌い、踊り、時に指揮者のように全身で音楽を表現し、時にはお茶目な笑顔で語りかける――その姿は「偉大な教授」という堅いイメージを覆す、魅力あふれる音楽家そのものでした。気づけば、私自身もすっかり教授のファンになっていました。
小学生から、10月2日から始まるショパン国際コンクールに出場予定のプロまで、多彩な受講生に真剣に向き合う教授。
私の生徒も大勢の聴講者に見守られながら緊張の中でレッスンを受けましたが、その時間は一生の宝物になったと感じています。
私はショパンの作品ばかり6名のレッスンを聴講しました。特に印象に残ったのはペダル指導です。
ショパンの時代と現代のピアノでは響きが異なるため、楽譜通りでは濁ることもあります。教授は「浅く細かく踏み替え、濁ったと思ったら即座に変える」と実演。その美しさには息をのみました。
さらに――
• 「音楽と無関係なペダルの音や大袈裟な動きは不要。静寂から音楽を生み出しなさい」
• 「fは騒音ではなく、美しく響く音で」
• 「“なんとなく”ではなく、楽譜を100%読み解き、リズム・拍感・アーティキュレーションを確かに」
その言葉の一つひとつが音楽の本質を突いていて、私自身の演奏観にも大きな変化を与えてくれました。
この貴重な学びを、生徒たちにもしっかりと届けていきたいと思います。