2024.11.05
樹原涼子先生と言えば先生ご自身が考案した子どものための独自のメソッド『ピアノランド』で知られています。
そして子どもたちの教育に力を注がれるだけでなく作曲家としてもピアノ曲集「心の小箱」「夢の中の夢」「やさしいまなざし」「風巡る」「時の旅」などを次々と発表されています。
さらにピアノ指導者のためのセミナーやマスタークラスにも力を入れておられ、全国のたくさんのピアノ指導者が樹原先生のもとで学び続けています。
さて年に1度、樹原涼子門下生による『楽しい音楽会』が開催されています。
今年は第30回目で10月27日(日)に代々木上原にあるけやきホールで行われました。
この第30回目の『楽しい音楽会』は私にとって本当に特別の音楽会になりました。
それは、ピアニストでもうすぐ88歳を迎えられる舘野泉先生が賛助出演してくださり、その演奏を聴けただけでなく、お話も伺うことができたからです。
そしてこの特別なコンサートに私も演奏者として出演できたことは何とラッキーだったことでしょう!
今年の『楽しい音楽会』は盛りだくさんのプログラムでいつもより内容の濃い音楽会になりました。
第1部は子ども達と初舞台の大人のクラスの皆さんの演奏。
そしてゲストのソプラノ歌手 福島由記さんの歌。
第2部はマスターコースやコード塾などの卒業生たちの演奏。
私はそこに出演しました。『楽しい音楽会』に出演するのは2回目で1回目の時は樹原涼子先生のピアノ曲集「やさしいまなざし」の中から3曲を弾きましたが、今回はショパンのポロネーズ1番での参加でした。私が感じた音楽を皆さんに伝えられるよう心を込めて弾きました。
樹原先生のところで学んでいる人の演奏を聴くといつも思うことがあります。
まず音が美しく、そして広い空間、音のない瞬間、伸びている音の行方をよく感じつつ、作曲家の音楽の流れをよく把握してその流れが眼に浮かぶように演奏していることです。
樹原先生がいつも繰り返しおっしゃっていることを皆がいつの間にか自然に意識するようになるからだと思います。聴いていて温かい幸せな気持ちになり、心が解放されました。
第2部が終わり、いよいよ待ちかねていた舘野泉さんの登場です。
脳出血で右半身不随になられてからは左手のみで演奏。舞台へは車椅子で登場され、ピアノの椅子に移動するのも大変そうでした。
ところが演奏が始まると会場全体があっという間に別世界に連れて行かれました。
最初に演奏した曲は北欧の作曲家シサスクの「エイベレの星」。八分音符の単音が同じリズムで繰り返されるだけの曲なのに、いつの間にか満天の星✨の中にいる自分に気がつきました。
舘野先生は舞台にたくさんの楽譜をお持ちになり、その場で観客の様子を見ながら何を弾こうかと考えているようでした。そして吉松隆の「水のパバーヌ」、光永浩一郎の「沈黙」「サムライ」を選んで演奏してくださいました。そのどれもが心に響く演奏で、自分がどこにいるのかも忘れてしまうほどの感動的な時間でした❤️
演奏後、舘野先生への質問コーナーもありました。
モチベーションの保ち方という質問には、今でも毎日3時間ピアノに向かい、ピアノを弾くことが新しい生命の誕生に立ち会うようで楽しく、生きる力を沸き立たせてくれると答えておられました。なるほど、納得!
舘野先生のユーモアに満ちたお話を伺って、舘野先生がピアノを弾く幸せを心から感じ、それを皆と共有したいと願っている様子が良くわかりました。
もうすぐ開催される88歳のバースディコンサートもそれは楽しみになさっていらっしゃいました。
こうして感動的な「楽しい音楽会」第30回が終わりました。
たくさんの友達に応援していただいたことも嬉しく思っています。
私も舘野先生のように年に関係なくいつまでも生き生きと演奏し続けたいと心から思いました!