2023.08.24
毎年毎年とても楽しみにしているピティナ特級ファイナルを、今年もサントリー大ホールで楽しみました!
特級はピティナ・ピアノコンペティションの最上位に位置するクラス、6月から始まる予選、二次、三次、セミファイナルで勝ち残った者だけがこのファイナルへと進むことができます。
この間、セミファイナルの2週間前に楽譜が渡される新曲課題やファイナルで演奏するピアノコンチェルトを含む2時間半以上のレパートリーを準備し演奏しなければならず、その膨大さに気が遠くなります。
短期間に仕上げる力、スタミナ、集中力、完成度、アンサンブル力、そして聴衆を惹きつける魅力も必要な特級。才能を努力で磨いてゆくとここまで到達できるということを実感できる贅沢な一夜です。
4人のファイナリストの方達はそれぞれの個性で聴衆を惹きつけ、その演奏を聴けたことに心底しあわせを感じました。
トップバッターの嘉屋翔太さんはサンサーンス2番を演奏。リズミカルで音楽が魚のように飛び跳ねている感じがとても楽しく聞こえました。2番目は神原雅治さんのラフマニノフの2番、とても誠実さが感じられる演奏でした。
休憩後の鈴木愛美さんのベートーヴェン4番!信じられないほどの音の美しさに脱帽です。隅々まで行き届いた繊細な響きが聞こえてくるとゾクゾクしてしまいました。最後に演奏したのは三井柚乃さん。その演奏ははスケールが大きく、ゆったりと余裕を持って歌い続けていて、うっとりしました。ラフマニノフを演奏された2人の演奏が全く違っていて興味深かったです。
私にとってこのコンサートに行くもう一つの楽しみは、たくさんのピアノ教師の方と音楽体験を共有して交流できることです。
コンサート後にグランプリを決める審査が行われている間、先生方と一緒に食事に行って発表を待つのが恒例になっています。
今年も、先生方がそれぞれの演奏をどのように受け取られたかを聞くことができて大変勉強になりました。
そのグランプリに輝いたのは!ベートーヴェン4番を演奏した鈴木愛美さんでした。あの美しい音色と音楽はしっかりと心に残っています。
グランプリおめでとうございます!
さて、今回のコンサートは、聴きに来ていたたくさんのお子さんたちにはどのように響いたのでしょうか。
小学3年生の私の生徒K君、コンサートは長いので前半だけでも聴ければいいねと話していたのに、結局最後まで集中して聴くことができたようで、帰り道に何度も「すごかったね!」と言っていたそうです。この感動はK君の心にどんなに刺激を与えたことでしょう。
いい音楽を聴いて感動することは音に対する経験を積み重ねることになり、音への感性を磨くことにつながります。
ピティナ特級ファイナルでは、ファイナリストが積み重ねてきた経験を出し尽くして演奏する真剣勝負の場、ピアノを学ぶたくさんの子供たちに是非聞いてもらって、自分の糧にしてもらいたいと思います。
Kくん、聴きに行けてよかったですね。これからもたくさんいい音楽を聴いてくださいね。