2023.06.26
ピアニスト藤田真央のピアノが聴きたくて、6月24日に所沢市民文化センター ミューズ アークホールまで、ラハフ・シャニ指揮のロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団との共演を聴きに行ってきました。
いつも微笑みを絶やさずニコニコしていて、思わず真央君と言ってしまう藤田真央。舞台へは少し体を丸めて恥ずかしそうに登場しました。
プログラム前半は技術的・音楽的にも最高の難曲とされている「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番」でした。
真央君の演奏は実にのびやかで音楽の流れがとても自然、一方、場面ごとに散りばめられた何色もの個性的な色に思わずハッとさせられ、響きへのこだわりがひしひしと伝わってきました。期待していたものを遥かに超えて真央君のピアノを心底楽しむことができました。
ラフマニノフの後のアンコールでまたまたびっくり!譜面台、ピアノの椅子、楽譜が出てきたのです。何があるのだろうと思っていると何と真央君と指揮者のラハフ・シャニの連弾演奏があったのです。曲はドヴォルザークのスラブ舞曲第1集第8番。素晴らしかったです!ラハフ・シャニのプロフィールをよく読むとピアニストとして活躍した後に指揮者になったと書いてありました。藤田真央の個性を引き立てて支え、そこに自分の音楽性をぶつけられるピアノの技量には感服すると共に、指揮者ならではのピアノ演奏だと思いました。
さて、実はロッテルダム・フィルを聴くのは初めてで指揮者ラハフ・シャニのことは今日まで知りませんでした。真央君と共演したラフマニノフを聴いた時点でオケと指揮者に只者でない雰囲気を感じていましたが、その本領は、後半の曲ブラームスの交響曲1番でさらに発揮されたのでした。
弦楽器の音は倍音豊かな美しい響き、管楽器のレベルの高さ、そして曲の要に登場するティンパニの存在感、それぞれの楽器の特徴を活かすラハフ・シャニの指揮はさまざまな楽器に光を与えていました。シャニはあまり派手な動きはせず、むしろ動かないところが多かったです。しかし、これぞと思うところで出す指示が見事で各パートがどんぴしゃりの反応をします。この指揮者の格好良さにすっかりハマりました。
アンコールのピッツィカートポルカの美しいハーモニー、ユーモアも素晴らしく、観客は大喝采でした。ロッテルダム・フィルとラハフ・シャニの指揮をまた聴いてみたいと心より思いました。
藤田真央君が聴きたくて行った演奏会でしたが、プラスアルファの収穫まで得られて幸せな気持ちで帰路につきました。