2018.10.08
2週間ほど前に、ちょっとしたハプニングで指を挟んでしまい、現在、右手の小指の靭帯を少し傷めてしまっています。怪我したその日の夜に、舞台でラヴェルのスカルボと、ブラームスのピアノ協奏曲1番終楽章の連弾バージョンを何とか演奏しました。
その後、右手の小指を使わないで演奏の仕事をこなしています。
運良く、今月はオペラの伴奏が多く、もともとオーケストラの部分をピアノで演奏するので、音を省略する事は問題がございません。室内楽作品やリートの伴奏等ではすべきでない音の省略、来月には治っている予定なので、来月の本番も大丈夫でしょう。
小指を使わない事で、普段は気づく事が出来ない様々な発見があり、私にとって必要な経験だったようです。
手の甲のバランス、という大事な仕事を小指は担っていた事を実感しています。
小指の役目を認識すると、自分自身の練習においてもより明確なイメージを持てますし、まだ指も演奏の全体像のイメージも育っていない子供たちのレッスンにおいても、将来の為の種蒔きが出来ます。
小指と薬指では音色が違う事も勿論わかっていましたが、その違いも、また前後の流れも大きく変わる事を実感しています。演奏時のイメージは、小指を使っていた時と同じで弾いても、出てくる音が大きく変わるのは、不思議な感覚です。
また、不都合が生じているのは右手の小指だけな筈なのに、右手は自分の意識としっかり繋がっていて、何故か誤作動が起きるのは左手なのです。
左手は、右手に付随して何となく動いているだけになりやすいのも十分わかっているので、普段から左手だけの練習は行っておりますし、受験やコンクール等を控えている生徒達には必ず左手の練習するように指導しています。
それでも、右手が上手く動かない時に、左手は咄嗟に意識とずれた動きをしてしまう事があるのです。
この機会を利用して、左手の為の曲を練習してみようと思います。
スクリャビン、サン=サーンス、ゴドフスキー、アルカン、レーガー・・・欲張ってたくさん練習してもどれも仕上がらずに流れてしまいそうなので、2~3曲選ぼうと思います。
普段から、ベレンスの左手の練習曲は練習していましたが、左手だけで音楽を完成させる事は、やった事がありません。きっと仕上がる前に完治しそうですが、ちょっとワクワクしています。