2018.05.22
先日、何年か前にコンクール出演した小学生のチェリストSちゃんのお父様から、伴奏以来のご連絡を頂きました。早いもので中学生になり、楽器も大人サイズになりました。
普段、歌や管楽器の伴奏の方が多いので、ピアノは曲数も多いしテクニックの習得も苦労が多く、練習時間がかかって大変な楽器なんだなぁと思います。しかし弦楽器とのアンサンブルをすると、ピアノはまだ楽な楽器なのかなぁと感じるくらい、弦楽器は大変です。
でも美しい形をした楽器が身体の近くで振動をし、音が鳴っている間中、自在に音色の変化を生み出せる弦楽器には、ピアノとは違った魅力があります。
以前私が彼女の伴奏した後、楽器から離れていた時期もあったそうです。
また師事する先生も変わり、基礎から作り直し、楽器も大人サイズの大きな楽器になり・・・・
様々な経験を経た上で頑張って続ける事を決断し、直向きに取り組む姿に触れ、素晴らしいと心底感じました。
思春期は、本当に難しい時期です。
自分のやっている事に自信が持てず、他人の評価が気になったり、表現する事に迷いや照れ臭さが生まれたり、思っている事に集中できずに思いとは違う事をやってしまったり。。。。
子供の独特のストレートさや、俊敏に反応する軽快さは影を潜め、思慮深くなります。
大人の視野からすると些細かも知れない事でも、大きく感銘を受けたり深く傷ついたりします。
共感する物や自分を理解してくれる人を求めたり、自分の内面と向き合い、これまでの幼さとは訣別しようとします。
感性に磨きがかかり、芸術の奥底に流れるものに意識が届くようになります。
音にも重みや深さが加わります。
一発勝負の演奏は、一番不安定になりやすい時期かもしれません。
敏感で刺激に脆く、小さな出来事で全体を揺るがしてしまうような状況に陥りやすいです。
ただ、将来の可能性への種蒔きする、大切な時期です。
ピアノも、中学生になって辞める生徒が多いと思います。
その主な原因として、
*心と体が一致せずに、思いがあっても練習に取り組めない。
*中学校に入ると中間・期末試験、部活動などでこれまでにないプレッシャーがかかる。
*気持ちも集中出来ない上に、曲も長く難しくなり、練習成果が表れなくなる。
等が挙げられます。
今までは何も考えずに挑戦できていた事でも、大きな勇気がないと一歩踏み出せなくなっているかも知れません。この事を十分に推し測り、小さな小さな勇気を伴って行動に移せた時には、成功失敗関係なく歓迎してあげたいです。