2015.12.06
今年は恩師の訃報が続きました。
私がベニテズ先生と初めてお会いしたのは、学生時代。
私はピアノ科でしたが、楽書講読(音楽専門書の和訳)のご指導をして頂きました。
先生は、東大大学院ご卒業の本学きっての秀才とのお噂。
和訳では「対象と対照と対称」の漢字の意味の違いをスペイン人の先生が詳しく説明して下さったのです。
その後40代で学長にご就任。
確か、日本で一番お若い学長、とお聞きした様に思います。
すると大学から
「学長室からお電話です。」
と自宅に何回かお電話が有りました。
いつも、人事についてです。
「○○先生がお辞めになるが、現場の様子を教えて欲しい。」とのお尋ねに
「今の講師陣で大丈夫です。」とか
「土曜勤務可能な方を採用して頂きたいです。」等、お答え致しました。
こういう声まで心配りして下さる誠実なお人柄が仇となったのか、先生は入退院を繰り返される様になりました。
母国スペインへ一時帰国されると伺い、新幹線のホームまでお見送りに参りました。
このまま先生は、日本へ帰って来て下さらないのではないかと不安を感じながらー。
その後、先生は自ら学長職を退かれ、「ようやく肩の荷が降りたんだよ。」と子供の様にお喜びでした。
それからは以前と変わらず学生のご指導、ご自分のご研究の日々に戻られましたが、難しい病を得られ、長い闘病生活を送られました。
これからも私の中には、ハンサムでダンディーな先生のお姿。
高潔で、誠実で知性溢れるベニテズ先生のお姿をしっかり留めたいと思います。
ご冥福をお祈り申し上げます。