2025.03.14
私が驚いたのは私が大学を卒業すると石川先生が私を○○先生ーと呼ばれる様になった事です。
石川門下の友人からは
「あなたは石川門下を出た人間だから優しく扱って貰えるのよ。」と言われましたが、確かに。
私は「桑村門下」の人間です。
石川先生はでっぷりした体格の方でしたが、とても繊細な神経のお持ちの方でも有りました。
最後に先生とお話ししたのは先生の講習会から帰宅した夕方、電話を取ると
「わしじゃ、わしじゃ。」と言うので「誰?(*_*;」と思っていると
「〇子先生じゃろ?」と言われ、私の下の名前をまともに読める方は私を良く知っている人?と思っていると
「石川じゃ!」と言われたので私は受話器を持ったまま、直立不動に(+_+)
「今日のワシの講習どうじゃった?」と聞かれたので
「ハイ!大変、勉強させて頂きました!」と答えると
「そんな事はどうでもええんじゃ。
ワシはベートーヴェンのソナタのあの部分をこう説明したがどう思った?」等と事細かく聞いて来られるので先生は本当に感想を求めておられると思い、それから30分程お話しさせて頂き、最後に先生はいつもの様に
「たまには遊びに来んさいや」と言って電話を切られました。
その後、先生は大学を退官され、ご自宅で生徒さんを待って居られる時に倒れられ、亡くなられたとお聴きしました。
有る先生は
「理想的な死に方ね。
羨ましいわ。
だってピアノ指導者として最後まで現役だったって事でしょ?」と言われ、
ああーそうなのかーーと思いました。
石川先生はやっとあのお美しい奥様の所へ逝かれたのだなと思い、涙しました。
今も私のレッスン室には石川先生の著書、
「モーツアルトの装飾音の弾き方」が有り、レッスンで使わせて頂いております。
あのご多忙の生活の中でバッハの楽譜を始め、数々の著書を出版された先生の研鑽の深さを改めて感じます。