2024.05.17
母が高齢になった為、これが母との最期の旅行になるかも知れないと母娘2人旅を計画しました。
運転が左程得意では無い私が一人で運転出来る限界は、山口県の湯田温泉まで。
家族の許可を得て(それ迄もママ友から旅行に誘われたりしましたが、主人が仕事をしている時に自分1人遊びに行く事等――私にはとても出来ず)
当時湯田温泉に新しく建ったホテルをエイっと取りました。
戦前生まれの母は今流行りの古民家風な店や旅館はダメなのです。
母にとってはただの古い田舎家にしか見えないらしく(-_-メ)
滅多に褒めてくれる事が無い母もそのホテルの素晴らしい造りに大感激。
高齢の母を私1人で大浴場に連れて行く事は難しかったので、温泉付の部屋を取りましたが、
母はゆったり自分のペースで温泉に浸かる事が出来、大正解でした。
大ご馳走の夕食を母はゆっくりゆっくり食べ続け
「お母さん、此処のクローズは21時なのでそろそろご馳走様にしましょうか?」と声を掛けても
母は無言でひたすら食べ続け、困ったなあーーと思っているとスタッフの方が
「どうぞ、ゆっくりお召し上がり下さい。」と優しいお声掛けを下さり、
43キロしか無い細身の母が、21時半迄かけて結局、完食((+_+))
翌朝は2人でホテルの広い庭を眺めながら
「この塀の向こうが大通りだなんて思えない程静かねー。」と話していると母が
「良い処ねーー」と返してくれたので、思い切ってこの旅行に来て良かったーーと。
その後、瑠璃光寺の五重の塔や維新の像を見て回り、母はその説明文を1つ1つ時間を掛けて読み続けるので、歴史に興味の有る母だったか?と思いましたが、
母は父を亡くしてから自分で読み物を読んではその感想をメモ書きしたり、夜中までサッカーを観戦して、選手の事をメモに書いたりーー
母なりに自分1人の時間の過ごし方を考える様になっていました。
今思うと懸命に前向きで、強い人だったのだと思います。
帰りに下松のサービスエリアに立ち寄ると色とりどりの三色団子が売られており、母はまるで子供の様に
「これも美味しそう。これも美味しそう」と何本もトレイに入れるので
「お母さん、こんなに買っても賞味期限が今日限りなんですって。」と話しても母は悲しそうに黙ってしまったので私は
「じゃあ3本だけ買って帰ろうね。」と話し。
今思い返しますと母の買い物はいつも私がスーパーで買い求めて届けていたので、母自身が店で物を選らぶ事が無くなっていたのだと思います。
余り感激したり、褒めたりする事の無かった母ですが、この旅行だけは
「良い処に連れて行って貰った。」と喜んでくれました。
エイっと計画して頑張って1人で運転し、
母と2人きりの最後の旅行が出来て本当に良かったと、母の日が来る度、思い出します。
又、母の命日が近づきました。
ただただ感謝、感謝です。