2020.08.26
学校が始まって1週間、
あまりに暑くてレッスンができるかしら?と心配していましたら、みんなのとても元気な様子にほっとしています。
6回の夏を雲一つない真っ青な空の下で過ごしたマドリッドの思い出は?と聞かれたら、
今この瞬間を楽しんで生きているスペイン人の暮らしにどっぷり染まったことでしょう。
夏の気温は40度近い毎日ですが、湿度が低いので体感的にはそれほどでもなく、
暑いというより日差しが痛いという感じでしょうか。
洗濯物はすぐに乾くし、放り込んだタオルはV字に立つのではないかと思うほどパリッとしています。渇いた大地に果てしなく続くひまわり畑のひまわりも、しゃんと立ちながらも太陽には負けてみなうつむいています。それでも根を張ってくねくねと枝を広げるオリーブの木々。
午前中は、大きな声で歌ってピカピカに家事をこなし、おしゃれして市場に出かけ、
昼間はゆっくりたっぷり食事をすると、お昼寝したりプールサイドで過ごすセニョーラたち。
そして夏の夜が始まるのは9時を回って、、、
そこからが1日の本番、おしゃべりの花は咲き乱れます。
夫は仕事を早めに切り上げゴルフのラウンド中。
お隣のご夫婦は眩しいほどのおしゃれをして仲良く劇場へと出かけていきます。子育て中の私はどれほど憧れたことか。
サッカーの試合がある日は車のクラクションが鳴り響き興奮が街中に満ちています。
こうして日本の2倍の夏を過ごしたと思えるほどのエネルギーを使い果たしました。
その国の風土と向き合うとそう暮らさざる得ないのです。
そのエネルギーが燃え尽きそうになって帰国が決まって、成田に到着し無事荷物を受け取り、真っ黒にスペイン焼けした私たち家族が手招きされたのは外国人通関ゲート。
よほど異邦人に見えたのでしょう。
たくさんのお土産と最後の荷物を抱えてタクシーの運転手さんにスペイン風挨拶をして、、
ドアを自分で開け閉めしようとすると何やら怪訝な様子、そのまま乗り込もうとした私たちの荷物は取り残されています。 「そうだ!日本に帰ってきたのだ!」
郷に入れば郷に従え!とはこのこと、素直に従いましょう。
世の状況に合わせてリモートの世界に身を置くようになった私たちの暮らしですが、
思ったことを素直に表現する豊かさを持ち合わせ、ちょっといい加減でお節介で、
毎日を真剣に気楽に過ごすスペインの生活が似合ってきたように思います。
でも日本人の勤勉さ、謙虚さ、礼儀正しさ、おもてなしの心も忘れたくはありません。
ピアノレッスンでもそのことも大切にしながら、時代に合った新しいレッスンの進め方も考えています。