2013.10.13
前回のコラムでは古典派の作曲家として登場したベートーヴェンが、ロマン派への扉を拓いたと言うお話をしました。
今回は、
このロマン主義とは何ぞや?というところから始めたいと思います。
日本語では
『浪漫』とも表記されるこの言葉。
私はこの言葉から、夢と理想、時には空想の入り交じる甘美な世界を思い描くのですが、皆さまはいかがでしょうか?
語源になった
『ロマン(roman:仏)』とは、ロマンス語(庶民の使っていたラテン語)のことで、そのロマンス語で書かれた小説を指すというのですが、、、
と言われてもロマンス語の小説など読んだことのない身にはさっぱり分からないですよね。
簡単に言うと
古典主義に対するものとして、より庶民的で、個人の情感を大切にする表現を『ロマン主義』と呼んだようです。
では、どうゆう音楽かと言うと、
F.ショパン (1810〜1849 ポーランド)
R.シューマン(1810〜1856 独)
F.リスト (1811〜1886 ハンガリー)
J.ブラームス(1833〜1897 独)
こう言った人たちの音楽。
中でもショパンは人気の高い作曲家ですので、彼の音楽を聞けば合点していただけるでしょうか。
そう、クラシック音楽には関心の無い方をも一度で虜にしていまう
甘い旋律、
豊かな情感と時には
圧倒的な迫力、
見事な技巧も目を牽きますよね。
演奏にはかなりのテクニックが必要になりますので、ピアノを学習する方にとってはいつかは弾きたい憧れの作曲家でもありますが、ただテクニックがあるだけではこの世界は表現できないように思います。
この時代の音楽を演奏するにはとりわけ、彼らの生涯、その時々の思いに気持ちを寄り添わせることが必要なのではないでしょうか。
(もちろん他の時代の作曲家にはそれが必要ないというわけではありませんよ〜)
例えば、先に挙げたショパン。
故郷ポーランドへの思い、意のままにならない健康状態
、恋人ジョルジュ・サンドとの葛藤。それらを知ることで、私達は、
音でしか表現しえなかった彼の切羽詰まった思いに、より近づくことが出来ると思います。
私はブラームスの音楽で、そんな体験をしたことがありましたっけ。
練習中に、なんの前触れも無く、彼の思いが胸に迫ってきて
思わず、練習の手をとめ溜息をついた、そんな瞬間が。
それは、ブラームス氏が、すぐ横に座って、彼の思いを直に語ってくれたような、胸の詰まる、でも幸せな一瞬でした。