2025.03.13
この日曜日に教室の発表会(Ein Klein Konzert)を迎えます。
毎年、初春のこの時期に開催し続け、もう何回目になるでしょうか。
今年は特に素敵なプログラムが並びました。
ピアノ以外の楽器を扱えるメンバー、長く歌い続けていたメンバーが揃ったゆえなのですが、ピアノとコントラバスのアンサンブル、歌とフルートのアンサンブル、そして声楽のアンサンブルも加わって、さながら小さな音楽会、まさにEin Klein Konzertとなりました。
Ein Klein Konzert(一つのささやかなコンサート)
教室を開いた当初、それは意識してつけた発表会の名称ではなかったのですが、頭の片隅にはいつかこの様な会にしたいという思いがあったように思います。
発表会を「コンクール」にしたくないと思ってきました。
順位や出来不出来を競い、他人と自分を較べて優越感に浸ったり、逆に劣等感に苛まれたりする場ではなく、皆で音楽の喜びを分かち合う会にしたいと。
社会に蔓延る価値観、競争や成果主義、効率化と採算性。
昨今は教育や文化にまでそれらの価値観が染み渡っているように感じます。
その中でこぼれ落ちていくものの中に、実は人を人間たらしめる大事なものがあるように思います。
難しい曲を弾ける才能を持っている人がえらいわけではありません。
楽譜をすらすら読める人が賢いわけでもありません。
とてもシンプルに書かれた曲の一おん一おんを虚心なく辿る、その響きに、
見えてくる音の風景に、作曲家に近づこうともがくその誠実さに、心が動きます。