2013.08.24
コンメディア・デッラルテ(Commedia dell'arte)をご存じですか?
これは、仮面を被って、即興でやりとりをする
刺激的かつ魅力に富んだ
ルネサンスイタリア発祥の喜劇なのですが、その特徴の
一つに
ストックキャラクター(Stock character)の存在があげられます。
そのストックキャラクター(Stock character)とはなんぞや?
これは、お芝居の中に登場する、ある特徴的な個性を持った
ステレオタイプ的人格のことなんですが、、、えっ、ますます分からない?
たとえば落語では 、、、
・喜六とか、清八とか、いわゆる長屋住まいの阿呆
*
上方では「困ったやっちゃけど、愛嬌があってほっとけない人」を、親しみをこめて阿呆と呼びます。決して人を貶める言葉ではないので悪しからず。
・長屋の大家さんとか、奉公先の旦那
こちらは大抵読み書きのできる、世話好きのおじさん。
なんかが
ストックキャラクター(Stock character)になるかと思うのです
が、、、えっ、そもそも落語を聞いたことがない?
いや、これは絶対面白いので、是非聞いて下さい。
さて、そのコンメディア・デッラルテ(Commedia dell'arte)のストックキャラ
クター(Stock character)達、実は西洋音楽の中にも、ちょこちょこ顔を出しているので、今日は音楽を通して彼らをご紹介してみましょう。
・ R.シューマン 『謝肉祭』 アルルカン(Arlequin)
アルルカン(Arlequin 伊語:アルレッキーノArlecchino)はコンメディア・
デッラルテの多分、一番人気キャラ。だんだらまだらの服を着て、身ごなし軽
く、抜け目のない言動で物語りを引っかき回します。動物にたとえると
猫!
シューマンのこの曲でも、飛んだり跳ねたり、始めっからちょこまか動きまわっているみたい。途中、ちょろりと現れるPPの部分がみそですね。
espressivo(表情豊かに)とあるのですが、悪さが発覚した後に許してって、懇願しているのかな??
・ R.シューマン 『謝肉祭』
パンタローネとコロンビーナ(Pantalon et
Colombine)
パンタローネ(伊語:Pantalone)は年取った
ヴェネチア商人。お金の勘定にうる
さく、いつもがみがみ小うるさい。そのくせ、若い娘には目が無いという、絵に
描いたようにいやな奴。
対する
コロンビーナ(伊語:Colombina) は賢くて魅力に富んだ若い娘。言い
よってくるパンタローネを上手にかわして懲らしめる。実はアルレッキーノの恋人。
さて、この二人にシューマンはどんな音楽を書いたのでしょう。
三部形式(ABA')のこの曲、最初に現れるのはパンタローネ。
フォルテで激しく動きまわっているのは例によって、消えた金でも探しているのかな~。
げっ、怒ってる、、、。
と、コロンビーナ登場。するりするりと優しくかわして、、、、
最後にちょんちょん、と和音で終わるのは、パンタローネを上手くかわしたコロンビーナが、かげでクスっと笑ったのかな?