2013.02.17
前回のトピックスでは、アウフタクトは始めの一拍目を決めるための(
ダンスで言えばステップを始めるための)
準備の拍だというお話をしました。
今回は、それを一歩すすめて、
メロディラインを作るコツをお話したいと思います。
実はピアノって、メロディを歌わせるのがどうしようもなく
下手な楽器なんですよね。何故って、息をしなくっても音を鳴らせちゃいますから。
では、この世で一番歌うのが得意な楽器と言えば?
人間ですよね!
ということで、今回は歌にご登場いただきましょう。
「音楽に寄せて(シューベルト)」
ドイツ語で取っつきにくくてすみません。でも、メロディも歌詞も素敵な曲なのでまだご存じなければ是非お見知りおきをm(__)m
|
Du holde |
Kunst, in |
wieviel grauen |
Stunden |
(汝、優しき芸術よ、幾度とない灰色の時間のなかで)
これが歌詞。|は小節線です。
ですから、
Kunst(芸術),
Stunden(時間)は一拍目となります。
どちらも大事な名詞ですよね。
では、小節線の前の言葉
holde(優しい),grauen (灰色)は?
これは名詞(一拍目)に掛かる言葉、形容詞なんですね。
さて、この言葉の流れをメロディラインに合わせてみましょう。
|(小節線)を挟んで、前の拍から一拍目へと流れの出来るのがおわかりでしょうか?
holde |Kunst,
grauen |Stunden
さながら、小節線という柵を越えながら、でもその前後をつなげてゆるやかに走り抜けて行くようではありませんか。
実はこの曲だけではなく、ヨーロッパ語圏の歌をみていくと、この流れ(前拍から一拍目へ)が随所に見受けられます。むしろ、優れた作曲家ほど、音楽と言葉の流れをピッタリあわせた作品を残しています。
これを使わない手はありません!
ピアノ音楽には歌詞はないけれども、歌にならってメロディラインに一工夫。
ほら、不思議!ピアノから歌が聞こえてきませんか?