2021.06.28
梅雨空の広がる土曜日、一年越しの演奏会を開きました。
ソプラノ歌手の友人と私のチェンバロに若いチェリストを迎え、イタリア・バロックの創成期からヘンデルまで。このメンバーとのアンサンブルは初めて。さらに初めての会場(salon de ぷりんしぱる )に初めての楽器(久保田彰氏制作フレミッシュ)と初めてづくしでした。
今回はイタリアをテーマにしたプログラムだけに、リハーサルから楽器との押し問答が始まりました。
サロンにあるチェンバロは繊細な音色を持つフレミッシュタイプ。
この繊細さは大好きなんだけど、でも今回表現したいのはパリッとしたイタリアの響きなの〜!
無理やり力でねじ伏せてフレミッシュくんにイタリア語を話させるか。
(いや、それでは楽器が鳴らないし。)
あるいは楽器に合わせて、演奏を若干柔らかめに整えるか。
(いや、それも出来ないし。)
フレミッシュくんもっと鳴ってくれ〜!
とあの手この手で、折り合いをつけてなんとか本番。
感染対策のために開け放った窓から、湿った空気が流れます。
イタリアの青い空、乾いた風 どこ行った〜!
と言っても仕方がないので、今日はこんな感じでいきましょうかね。
満席のお客さま、
でも大阪は医療崩壊もあった第4波がやっと通り過ぎたところ。
数ヶ月ぶりに街に出てこられた方もおられるのではないかしら、不安を感じてはおられないかしら。お顔を見渡して、目と目で確認をとってのスタートでした。
チェロの響きが客席に染み渡っていきます。
奏者の緊張が横から伝わってきます。
ん?えらく冷静な私。ではなくて、とても楽しかったのです。
アンサンブルすることが。そして客席に音楽を投げかけることが。
ソプラノ歌手が熱演でした。
歌が熱を帯びるに従って、チェンバロの右手さんもますます自由に弾き始めます。バロックはこの自由さが魅力ですね。
頼もしいスタッフに支えられました。
楽屋からチラリチラリと客席をのぞき見ながら
必要な時に、必要な場所で、適切な合図を送ってくれたのが心強かったです。
演奏会は お客様、奏者、裏方 この三者が一体となって作り上げる必要不可欠の芸術だと、改めて確信しました。
微力ではありますが、今回の会がそのような機会になっていましたら幸いです。