2021.03.15
2年ぶりの生徒さん発表会が間近に迫ってきました。
発表会といっても、小規模な教室ゆえ大きなホールではなく、レッスン室に椅子を並べてこの三ヶ月ほどの研鑽の成果を披露するというスタイル。とはいえ人前で演奏することに変わりはなく、演奏には入念な準備に加え、日常にはない緊張と向き合うことになります。
あ〜、こんな胃のキリキリ痛むこと、何が楽しゅうてやっているのかしら。
と思うこともしばしば。
それでも、演奏活動をほぼ停止していた昨年は流石に焦りました。新しい様式とやらで自宅で録音したものをYoutubeにあげてもみました。でも、お客様の息遣いのない部屋での録音の、なんと味気ないこと!
そんな時に、ある新聞記事に目が留まりました。
『「無観客」がついた急所』と題されて毎日新聞に寄稿された三浦雅士氏の論考です。
三浦氏はライブについて書きます。
「ライブが決定的に重要なのは、演奏者や舞踏手や役者たちの芸を最高のものにするのが、実は観客や聴衆つまりその公演に立ち会ったものたちの呼吸と熱気に他ならないからなのだ、ということに気づいたのである。」と。
舞台に上がる時のあの緊張感。
何度も何度も悔しさと、敗北感と、劣等感に苛まれながら、やっぱり舞台に戻りたいと思うのは、本番でしか生まれ得ない感動があるからなのですが、その舞台を作っていたのは実はお客さんであったと。
とすれば、いわばお客さんは相棒。試験官でも批評家でもなく、共に舞台を作る大切な同士。私たちはお客さんいう同士と時間と空間を共有するために会場に足を運んでいたんですね。 そう、観客を怖がる必要などなかったんです。
さて、今年は生徒さんの発表会を皮切りにいくつかの演奏会再開を目論んでいます。一年の中断があったからこそ気づけたもこともあるはず。
いよいよ新しいスタートです。