2020.11.09
秋深し。先日は久しぶりに太陽の塔を拝んできました。
お目当ては万博公園の奥に居を構える国立民族博物館の企画展『先住民の宝』。
今回の企画展では世界各地から9つの先住民を取り上げ、彼らが大切にしてきたもの、生活用具や祭り、伝統芸能、つまり民族の宝を紹介しています。少しご紹介すると、、、
オーストリアのアボリジニ、点描画で有名な民族ですが思わず草間彌生の作品を連想しちゃいました。黒光りする木からユニークな像を彫り出しているのはマレーシアのオラン・アスリ。衣装にほどこされた色彩豊かな刺繍に惚れ惚れしたそのマヤ族のコーナーでは、伝統柄を盗んで安売りするファストファッションの問題が説明されていました。
そして最後は我らがアイヌの文化が。漫画ゴールデンカヌイを使っての解説に興味が掻き立てられます。アイヌ文様の力強くモダンなこと。その刺繍のひと針ひと針の繊細なこと。
先住民の文化に興味を覚えたのはカナダ旅行の影響からです。
もともと旅先では遺跡や美術博物館に行くのを常としていた私。カナダ旅行を決めてはた、と困ったんですね。カナダでしか見れないものってなに?と。
そして気がついたのです、北米大陸の先住民の文化の存在に。
トロント、モントリオール、オタワ。経巡った各地の美術館には必ず先住民の文化芸術の部屋があって、しかもその見せ方が実に美しい。まさにカナダの宝もの!旅行者である私もすっかり魅了されてしまいました。
世界が狭くなり、多数派で経済力のある地域の文明・文化に世界が塗り尽くされていく中にあって、しばしば彼らの生存と文化は隅に押しやられてきたと言います。でも少数派である彼らのユニークな文化と智慧が、硬直し行き詰まった世界に新しい息吹を与えてきたことも事実です。
『先住民の宝』と題された展覧会ですが、私が見たものは実は先住民文化という『この星の宝』だったんような気がします。