2020.09.07
とても印象深い映画を見ました。
「愛を読む人(The reader)」
物語は15歳の少年と36歳の女性の関係から始まります。
ん、これは艶話なのかしらん、という予測を裏切って、二人の突然の別離。
そして、舞台はアウシュビッツの女性看守の裁判へと移ります。
そこで二人は、裁判を傍聴する法学生のミヒャエル(マイケル)と被告人ハンナとして再会するのですが、裁判官と被告のやりとり、若き大学生たちの真剣さと葛藤を追いながら、国家が組織的に行わう犯罪の苦さを突き付けられました。そして、その裁判の中でミヒャエルの気づいたハンナの秘密、そこから、お話は思わぬ方向に進んでいきます。
このストーリーの中では「朗読」がキーワードとなります。
本を読む。ただ読むのではなく、声に出して読む。
読んだものを人に聞かせてあげる。
映画を二回、それから原作の小説「朗読者(ベルンハルト・シュリンク)」を読み、その解説で「この小説は二度読むことが薦めらている(ジョージ・スタイナー)」ことを知り、朗読を始めました。
本を読んでもらうのが大好きだったハンナ、
知識に憧れ、物語に感情移入し、きちんと丁寧に仕事をし、人望もあったハンナ。そのハンナが、政治のうねりの中で、強制収容所の看守として働き、結果ユダヤ人の命を選別し、見捨て、抹殺したこと。
私はナチスドイツだけが特別とも思えないんです。
カチリ、カチリ、と幾つかの要因がはまったとき、人間は誰でもあの犯罪に手を染めてしまう可能性を持っていると。
だからこそ、できる限りその要因を減らしていこうと。
朗読という、ゆっくりと流れる時間の中で
もう一度ミヒャエルの体験を振り返ってみたいと思っています。