☆気ままに、音楽あいうえお☆ 「え」 英雄ポロネーズ ショパン
2015.01.26
ショパンの曲はすべて美しく憂いを帯びています。ピアノの名曲としてまるでその世界の入り口に華麗に咲く赤い薔薇のような存在です。幻想即興曲、バラード、革命、黒鍵などのエチュード、華麗なる大円舞曲etc. …ショパンの有名な曲の美しさは普段ピアノを弾かない人をも虜にします。
ポーランドからパリに亡命して、社交界という表面的な付き合いの世界の中で生きた彼は、一部のごく親しい友人以外には固く心を閉ざしていました。信じるもの以外は絶対受け入れない頑固な面を持ち、サロンの貴族達の中では決して本音を言わなかったため、作品にも心の部分を表現するというよりは、その表面を覆うものの美しさに重きを置いた部分が時々存在します。
しかし、美をまといながらよそゆき顔をしている作品は、ショパンそのものです。曲の表面を覆うものの美の輝きが尋常ではないというところが彼の最大の魅力であり、その完璧で研ぎ澄まされた美は、この病弱な作曲家の中から生まれてくる精神の強さのようなものを感じさせます。
ポロネーズの中では『英雄ポロネーズ』は知名度№1ですが、次の第7番となる『幻想ポロネーズop.61』は、派手さはありませんがショパンの心により近いかもしれません。どちらもショパンの愛国心から生まれ、人々の心を掴んで離さない傑作です。他にもマズルカのあるもの、ノクターンでもあのあまりにも有名なop.9-2ではなく、op.15-2のような作品・・・。小さな作品『Wiosna(春)』もあまり有名ではありませんが心に語りかけてきて、彼の心の中を垣間見ることができます。
曲は、その人の状態や年齢によって同じ曲でも違うように響きます。これからも『英雄ポロネーズ』は私の中でどんどん変わっていくでしょう。ショパンに限らず、存在するクラシックピアノの曲の数は膨大です。すでに弾いている曲も、今から練習していく曲も、自分とどうかかわっていき、どういうことを感じさせてくれるかが楽しみです。
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