2014.12.13
「どうして音楽は心に訴えるのですか?私はいつも皆さんの演奏を聴くと心が安らいだり震えたりします。」
先日当教室のクリスマス弾きあい会を行いました。後半の茶話会では保護者の方々のお考えをうかがうことができ感謝申し上げます。その中でこの興味深いご質問がありました。
我々の祖先が外界での出来事を群れにもどって報告する時に対象を正確に指し示す働きをしていたものが言葉となり、感情の動き-畏れや感動、心の強い動きなど-を指し示す働きをした叫びや身振り手振りが音楽や舞踊になったといわれます。 言葉での伝達は意識下のものを伝達する場合に使われます。 分かりやすく正確ですが、虚偽をも伝えます。一方音楽は心の動きを伝えます。そこに含まれる情報量は言葉の伝達に比べるとはるかに多く、意識下のものと無意識下のものがあります。
音楽が重要なのは無意識下の感情も伝達するというところです。イルカのテレパシーは膨大な情報量を持つといいますが、人間も無意識下の方が伝達情報量的に多いといえます。すなわち作曲家も演奏者も無意識の領域を大量に伝達しているということです。 それは、人間が太古の時代から受け継いだ種としての畏れののようなものも含まれると言います。
すべてが音楽に出てしまう…そのため演奏家はステージに裸で上がるようなものだとよくいわれます。生き方さえも無意識のうちに演奏に出てきてしまうので演奏者自身の質が問われます。しかし音楽が持つ情報量は膨大なので追求すればするほどこれでいいという終わりはありません。
音楽をとおして理解し合うことは心の解放です。喜びや悲しみを分かち合うために、世界のどんな土地にも必ず音楽があり踊りがあります。音楽を演奏したり聴いたりすると心が安らいだり開放された気持ちになるのは音楽に内在する感情に共感するからです。若者達が流行歌に敏感なのも歌詞や音楽の中に自分たちに必要なメッセージを読み取っているからでしょう。音楽を通した共感…それは人にとってなくてはならないものなのです。
ピアニストのポール・ルイスのインタビュー(王子ホールマガジン)から引用します。
「音楽からもたらされる喜びはいつだって大きい。私たちは人間性の根幹に迫る作品にいつも触れているわけです。存在はしているけれど言葉で説明しづらい感情――たとえ絶望や苦悶や死への衝動であっても、それは人間であることのあかしであり、人生の一部です。人間の暗い側面を描いた音楽でも、人を豊かにすることができる。人生の辛い時期にある人でも、こうした作品に触れることでかえって心が安らぐことがあります。絶望の中にあってもかすかな希望がみえたり、前に進むきっかけになったりもする。そうした表現ができるのは、音楽家冥利に尽きるといえます。」(文:柴田泰正)
音楽は人間にとってなくてはならないコミュニケーションのひとつです。小さい生徒さんはまだまだ人生も始まったばかり。音楽の偉大さという雷に打たれるのはもう少し大きくなってからでしょうが、その時に心を表現できる手段としてピアノがあったら…といつも思います。同じテーマの「白昼夢①」
https://pnet.kawai.jp/602574/topics/51818/
もご覧ください。
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