2013.12.16
今年は柿の美味しさを堪能した。
柿の味は人工的に作るのは無理だとかで、柿味の飴やら柿味のアイスクリームなどは存在しないことは知っていた。しかし柿の皮をむいていてその美味しさ以上に皮の色の美しさにも今更ながら気が付いた。
柿だから柿色なのだが、よく見るといろんな色が混ざっている。
点点もある。
その点点たちが作る微妙なグラデーション。
いかの身体の模様のようによく見ないとわからない地模様だ。
そして表面が何とも言えずつややかだ。
ベタでポスターカラーを塗ってもこのような美しさにはならないな、と思う。
寒がって出かけるにも車に頼ったり、忙しさにかまけて外を見なかったりすると初冬の日はもうすぐに姿を変えていってしまい、あんなにあったいちょうの葉が一夜にして一枚もなく落ちてしまっていたりする。
いちょうの黄金色。
燃えるようなもみじの赤。
ハゼの木のくすんだ赤。
落葉樹はとても饒舌におしゃべりしながら駆け抜けていくのに対して、常緑樹はだまってたたずんでいる。そのコントラストにも風情がある。
自然のキャンバスに驚嘆しながらピアノの楽譜に向かうと、その中にも無限の音のキャンバスが広がっている。
ドビュッシーの
「葉ずえを渡る鐘」
「廃寺にかかる月」
を弾いてみる。
全体のトーンは統一感を出さないといけないけれど音のひとつひとつは色彩豊かに奏でたい。
厳選した一音一音が音楽の帯となっていく。
むき終わってもなお美しい柿の皮のように。
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