2025.10.14
『白昼夢』は、音楽と日常が静かに交差するフィクションシリーズ。
2025年10月。熊本市は暑いくらいの秋晴れ。 そして道路まで、素晴らしいショパンを弾くピアノの音がもれ聞こえてきます。 おや、生演奏ではなく、どうも配信を聴いているみたいですよ。コンクールをめぐって 何か意見の食い違いがあるご夫妻のようです…。
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妻「あら、あなたは配信聴かないの?みんな素晴らしいわよ!」
夫「いいよ僕は。コンクールという形式自体興味ないし。いいと思ったピアニストが選ばれないと悲しいからね。」
妻「そうね。解がひとつじゃないものね。それぞれのピアニストがそれぞれの良さを持っているから、難しいわね。でも、更なる表現を求めてコンクールという舞台で極限まで自分を追い詰めるピアニスト達には心を打たられるわ!」
夫「そっかぁ。高みを目指してみんな輝いてるんだね。それにしてもショパンっていいよなぁ。美しいだけじゃなくて、薔薇みたいにトゲが刺さりそうな時もあって。特にバラード全四曲は人類の宝だね。」
妻「バラードって物語を音楽にしたジャンルなんだけど、ショパンのは元の物語がはっきりとは分かってないの。」
夫「いつか4番頑張ってたよね。」
妻「ピアノ教室の大人のピアノ披露会で弾いたわ。好きでしょうがなくて暗譜まで頑張った!」
夫「翔太もこないだ発表会でバラード弾いてたな。」
妻「あれはブルクミュラーのバラードね。」
夫「三拍子のチャッチャッチャッってやつだな。俺も弾いてみたいな。起承転結がはっきりしてて、ちょっと怖そうな、まさに物語を音楽でって感じ。」
妻「ドビュッシーのバラードも素敵よ。ちょっとリズムが難しいところがあるけど。右手が3つ弾く間に左手は5つ弾くとか!でも楽譜を見ると難しそうなのに、それが音になると自然で美しいのがドビュッシーなのよね。音がもつれるようにしてグラデーションを作っていくところが美しいわ。」
夫「ブラームスのバラードも好きだなぁ。重厚なブラームス。秋にぴったりだなあ。」
妻「あー。あの第1曲は息子の父殺しの話が元になってるのよ。知らないの?」
夫「え⁈!そうなの?」
妻「翔太もそろそろ反抗期…。」
翔太「わ‼︎」
夫「わあっ‼︎」
翔太「ただいまー。どうしたのパパ、そんなにびっくりして。」
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10月のある日の白昼夢…。
※白昼夢はフィクションです
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熊本市・東区健軍ハートピアノ教室
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