2025.06.15
大人になって初めて良さに気がつく曲があります。私は子供のころは結構”曲偏食”でした…。その原因は二つあるようです。
①読譜が未熟でハ長調の簡単な曲しか弾けなかった
もっと複雑な和音が美しさを表現する曲もたくさんあるのに、ドミソなどの基本的な音で伴奏が書かれている、目に優しく弾きやすいものだけを好んでいました。
②題名からの連想、鳴らした時の音の雰囲気など、子ども当時の自分の知識や感覚で想像可能な狭い範囲ものしか興味が起きなかった
曲の視聴経験や人生経験が浅く情報が少ない子ども時代に、幼い感覚では想像できない《楽興の時》(シューベルト)の奥深さ。またスティリアって何?アラゴンのホタってホタテの仲間????等々…。
これでは「弾きたい!」という意欲にはつながらなかったようで…。
他にも
《舟歌》(ブルグミュラー)
♭が4つある変イ長調。今なら《悲愴ソナタ第2楽章》《愛の夢》などうっとりするような曲は皆この調なのに、4つの♭に拒否感。響きの美しさを聴きとどける耳と感性がありませんでした。
《楽しき農夫》(シューマン)
楽譜を見ても何が何だか分からない、メロディーはどこ?リズムはどうしたらいいの?とにかく楽譜が見づらい。しかし本当は音のバランスや音色に気を配ると、奥行きのある立体的な音楽に。3D画像が見えてその作品の意図が浮き出てきた時のように感動的。
もちろんこれは私の場合で、子どもの時からばっちり理解されている方はたくさんいらっしゃいます。
話はピアノからそれますが、今年もアユ漁が解禁されたそうです。大人になった今ではおいしいと思える鮎も、あの鮎独特の香りと食感は子ども時代の私にはムリでした。
鮎が大好物の亡くなった祖母は、方言で鮎のことを「あいゅ」(いとゆの間のような感じ)と独特な言い方をしていました。大人になって初めて分かるあの味わい…。しわしわの手で鮎をおいしそうに食べる祖母を思い出すと、私ももっとしわしわになったら、今は理解できていない未知の表現力で味わい深い演奏ができるようになるのかも…と、ちょっと期待感を持つ今日この頃です。
熊本市
東区健軍ハートピアノ教室
©️Seiko Kai 2025