2025.05.31
ブルグミュラー作曲【25の練習曲】第2番《アラベスク》は、日本のピアノレッスン曲界隈では超有名曲人気No. 1で、誰もが弾いてみたい曲のひとつです。楽譜が読みやすく、構成的にもまとまっているので、ピアノ練習者の心をわしづかみです。
四分の二拍子、Allegroアレグロ(“陽気な”といういみのイタリア語 速いテンポで)。
出だしはなんと左手で同じ短三和音を1、2、1、2、と四つ弾くだけ。それなのに何という切迫感。映画のプロローグのように、これから起こることを暗示します。
それを受けて入ってくる右手の16分音符(図参照)は、悲しいだけではなく強いメッセージを持っています。きびきびした速い動きは一瞬長調になって、戦慄をあおります。16分音符は、一拍の中に四つの音符を入れて速く弾くので、訴えかけるような強い表現です。
中間部は戦慄の音形である16分音符が左手にバトンタッチ。右手は単純な繰り返しですが、ここが付点のリズムになっていることで高揚感を演出しています。
冒頭のざわざわするメロディーが再現され、イ短調で一度音楽を閉じるのですが、その後のエンディング(codaと呼ばれる)でテーマの音型が高音まで駆け上がり、瞬時に低音に駆け下りてユニゾン(同じ音を両手で弾くこと)、瞬時にまた高音の和音を高らかに打ち鳴らし曲を終わります。(ピアノの右端へ行ったかと思えば左端へ、また右へ、と身体も大きく動くのでカッコイイ!)
印象的な曲想に心を奪われてしまうので錯覚するのですが、なんとこの曲は16分音符の習得を目指した練習曲、エチュードです。ショパンの練習曲もその美しさで有名ですし、バッハのインベンションも息子のために書かれた練習曲ですが、あまりにも音楽的ですね。
アラベスクと同じイ短調でおススメは
★Bach, Minuet in A minor, BWV Anh 120
アラベスクより音数は少ないが一つ一つに重みがあって演奏すると大満足
★Beethoven Bagatelle 'Für Elise'
ピアノを弾く人の永遠のあこがれ
★Chopin Etude in A minor Op. 25 No. 11
上級者に極上の一曲
小さい生徒さんは、急になんでなんで?と今日も質問攻めです。
アラベスクってなあに?エスエフ(sf)ってなあに?アラベスク作った人誰?
と疑問が溢れてくるようです。
実はブルグミュラーという名前はドイツ語でBurgは城、müllerは粉屋、製粉業を意味する職業姓。
「へぇ〜じゃあブルグミュラーってお城のパン屋さんの苗字なんだ〜…。」
しばらくしみじみ…。
と、生徒さんが突然自分の名前にブルグミュラーをくっつけて
「結婚したらブルグミュラー美咲!」(仮名)
と言って大笑い。
かわいいですね!
熊本市
東区健軍ハートピアノ教室
©️Seiko Kai 2025