2025.04.15
小さい生徒さんは
「せんせー、どうして二階から来たの?」
「どうして今日靴下はいてないの?」
「どうして、どうして…?」
とかわいいお目目をキラキラさせてたくさん質問してこられます。まっさらな子どもの目にはすべてが謎のかたまりのようです。
レッスンでも
「ここはね、お休みがあるからウンってお休みしてね。」
「なんでお休みなの?」
「ウ~~ンこれ作ったバッハさんがそう決めたんだよ。バッハさんがここはお休みにすると素敵に聞こえるって思ってたんだからそう弾いてみよう!」
と私もエネルギー全開です。
きっと成長の段階で「なんでかな?どうしてかな?」とたくさん考える時期があるのでしょう。かわいいですね。
ドイツの作曲家シューマンの『幻想小曲集』第3曲目に”Warum?(なぜ)”という曲があります。3分くらいの短い曲ですが、その中でずっと同じ音形が繰り返されます。右手のスキップのリズムはなぜ?なぜ?を繰り返し、左手の伴奏はシンコペーションで拍を感じるポイントをわざとずらしてきます。このリズムは日本人には難しく、問いかけの言葉が空中を舞うように弾くのが難しいようです。なぜ?なぜ?と、シューマンは誰に何を問いかけているのでしょうか?
ところで、ドイツ人はなぜか理由を知りたがる人が多い、と聞いたことがあります。Warum?なぜ?どうして?もちろんすべてのドイツの方がそうではないでしょうけれど、何か探求心旺盛といった国民性のようなものもあるかもしれません。
もしそう聞かれた時に何と答えるか?ドイツ語の先生は次のようにおっしゃいます。
①理由は意外と適当でいい。しかし適当に言うと更にそれを質問される。
②知らないと言ってよい。
③反対に「何でそれを知りたいの?」と質問するのも一つの手。
だとか!
ドイツの方は、自分に向かってWarum?なぜ?と常に問いかけて人生を厳しく生きてらっしゃるのかもしれません。
そしてそう聞かれたら「そうねぇ。なぜかしらね。」とだけ答えて後はシューマンの”Warum?”を弾いてあげるのもいいですね。
熊本市
東区健軍ハートピアノ教室